NYのシェフお薦めの昆虫食、コオロギのチャーハンやクモの天ぷらも

タランチュラの天ぷら/Brooklyn Bugs

2021.11.27 Sat posted at 17:00 JST

(CNN) タランチュラの天ぷらやおにぎりのサソリのせ、バッタのキャラメルポップコーンはいかが――? 米ニューヨーク市を拠点とするシェフのジョセフ・ユンさんは4年前、芸術プロジェクトとして昆虫の料理を始めた。今は気味が悪い生き物という認識を変化させ、「おいしくて栄養豊富で持続可能な」食材として昆虫に目を向けてもらいたいと訴える。

「とにかく昆虫が大好き」というユンさんは、昆虫食を推進する団体「ブルックリン・バグズ」の代表。「昆虫は多様性に富み、種類が非常に多く、私たち自身の生態系や生物多様性も昆虫に大きく依存している」と力説する。

世界には食べられる昆虫が2100種類以上も存在していて、ナッツやシトラス、チーズ、ココナツなどさまざまな味付けができるとユンさんは言い、「食用昆虫の味付けや食感、調理法のアイデアが素晴らしく豊富なことを、みんなに知ってもらいたい」と話す。

国連食糧農業機関(FAO)の2013年の報告書によると、昆虫は推定20億人が常食としているが、欧米諸国では昆虫食に対して不快感を感じる人も多い。

バッタのキャラメルポップコーン

世界の食料調達はますます困難になっている。土地は不足し、海洋では乱獲が進む。その一方で世界の人口は50年までに90億人に増えると予想され、食料生産はほぼ2倍に増やす必要がある。

食料生産は環境にも影響を及ぼしている。人間が発生させる温室効果ガスのうち、14~17%は家畜業界が排出しているとの研究もある。

FAOによると、コオロギは畜牛の6分の1、羊の4分の1、豚や養鶏の半分の飼料で同じ量のたんぱく質を生産できる。欧米諸国で昆虫をおいしいと感じてもらえれば、たんぱく質が豊富な昆虫は持続可能な解決策になり得る。

自分たちの食習慣が環境に及ぼす影響を抑えるために、「世界中で、特に私の住むアメリカで、昆虫食が普通になってほしい」とユンさんは考えている。

コオロギが盛られた卵

昆虫食を試したいと思ってもどうすればいいか分からないという人に対してユンさんが勧めているのは、自分の好きな料理に昆虫を取り入れることだという。「新しい材料を使った新しい料理を考える必要はない。もし私のようにチャーハンを作るのが好きな人なら、私はコオロギでチャーハンを作るのが大好きだし、マカロニチーズにコオロギを乗せるのも大好き。チーズソースにコオロギパウダーをかけてもいい」

欧米でも昆虫食に対する見方を変えさせようとする取り組みは始まっている。12年には米国人起業家のパトリック・クロウリーさんがコオロギ粉を使ったプロテインバーを米国で発売。カナダでは14年に食用昆虫農場がオープンした。

昆虫食推進団体によると、19年には欧州で約900万人が昆虫や昆虫派生製品を消費した。消費者は30年までに3億9000万人に増えると予想している。

「1匹の昆虫が変化を起こせるのか。1人の人間が変化を起こせるのか」とユンさんは問いかける。「私たち1人ひとりに責任がある。1週間に1回、昆虫食を取り入れれば、大きな変化を生み出せる」

米NYのシェフ、昆虫食を提案

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