マルコムX殺害で有罪判決受けた男性2人、有罪取り消しへ 半世紀経て

マルコムXの暗殺事件で有罪判決を受けた男性2人が、有罪を取り消される見込み/Truman Moore/The Chronicle Collection/Getty Images

2021.11.18 Thu posted at 12:35 JST

(CNN) 1965年に起きた米国の黒人公民権運動指導者マルコムXの暗殺事件で有罪判決を受けた男性2人が、有罪を取り消される見込みとなった。男性の弁護士らが明らかにした。

ムハンマド・アジズさん(83)とカリル・イスラムさん(故人)の弁護士らとマンハッタン地区検察が1年10カ月に及ぶ調査を行った結果、無実の証拠が見つかったという。裁判当時、検察も弁護側も提出しなかった連邦捜査局(FBI)の文書などがあるとしている。

アジズさんは当時ノーマン・3X・バトラー、イスラムさんはトーマス・15X・ジョンソンの名で知られていた。

サイラス・バンス検事は米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで、「歴史の中で法執行がその責務にかなうものではなかったことが度々ある」と述べ、執行機関の誤りを謝罪した。17日にはツイッターに、弁護士らとともに有罪の取り消しに向けて動くと投稿した。

アジズさんは85年に刑務所から釈放された。イスラムさんは87年に釈放され、2009年に亡くなった。

ムハンマド・アジズさん(写真左)とカリル・イスラムさん(写真右)

冤罪(えんざい)を晴らす活動を行う非営利法人(NPO)「イノセンス・プロジェクト」と弁護士らは、1966年の有罪判決の取り消しを求める共同の申し立てを18日に提出すると述べた。

人種差別と闘う最も強力な代弁者の一人だったマルコムXは、65年2月21日、ニューヨークのオーデュボン・ボールルームの壇上に上った後銃撃を受けて死亡した。

66年の裁判では3人の男性が無期刑の有罪判決を受けた。当時トーマス・ヘーガンとして知られたムジャヒド・アブドゥル・ハリムさんはそのうちの一人で、自身の関与を認めた一方、アジズさんとイスラムの無実を主張していた。

アジズさんとイスラムさんも何年も自らの無実を主張。アジズさんは判決から50年以上経った現在も汚名をそそごうとしている。

イノセンス・プロジェクトによると、アジズさんやイスラムさんとマルコムXの殺害を結びつける物理的な証拠は存在しなかった。アジズさんにはアリバイもあり、事件当時、脚を負傷し自宅にいたという。アジズさんは事件を扱った米ネットフリックスのドキュメンタリー番組で「事件はラジオで聞いた」と語っていた。

この番組では事件に関する多数の疑問が浮上し、バンス検事による再調査が昨年始まった。検察はイノセンス・プロジェクトと協力して調査を進めていた。

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