米国のコロナ件数横ばい、専門家は冬に向かって良い前兆ではないとの見方

新型コロナウイルスの感染検査を行う様子=10日、米ネブラスカ州オマハ/Dan Brouillette/Bloomberg via Getty Images

2021.11.15 Mon posted at 18:20 JST

(CNN) 米国で過去1週間に新型コロナウイルスと新たに診断された件数は約半分の州で増加した。入院数は11州で増加したほか、死亡数は17州で上昇した。

米国全体の新型コロナウイルスの件数はこの数週間横ばいで、今夏の直近の感染急増時から伸びは約半分にとどまっている。

新型コロナウイルスの新規感染件数は一部の州で減少している一方で、特に気温の低い州では増加している。

今夏の感染件数増加の中心地であった南部の州は今、感染の割合が最も少ない州の一部となっている。フロリダとテキサスの2州は2カ月前、合わせて新規感染件数全体の約4分の1(22%)を占めていた。いまでは2州が全体の感染件数に占める割合は6%にとどまる。

フロリダ州は新規感染件数が2カ月前の10分の1、テキサス州は同5分の1となっている。

これは朗報のように聞こえるかもしれない。しかし、ほかの州ではこれほど大きな減少は見られず、人口のより少ない州や、特に北東部や山岳地帯など一部の州ではわずかに増加している。これにより、米国全体では感染件数は横ばいとなっている。

州別の感染件数をみると一般の人々にとっては矛盾したメッセージに聞こえるかもしれない。しかし、専門家は矛盾したメッセージとは受け取らず、米国や世界が良い冬を迎えるとは予測していない。

新型コロナウイルスの感染検査を行う様子=10日、米ネブラスカ州オマハ

ワクチン接種をしない人と、他人のいる屋内でマスク着用の勧告にあらがう人があまりに多い状況では、直近ほどの高水準には至らなくても、感染が急増する恐れがある。また、現在感染件数が増えている地域以外でも感染が広がる可能性がある。

ミネソタ大学感染症研究政策センター(CIDRAP)のマイケル・オスターホルム所長は「今後数週間で何が起こるか分からない」としながらも、良い状況になるとは感じられないと述べた。

ワシントン大学で新型コロナウイルスの流行を開始時から追っている疫学者のアリ・モクダド氏は、感染件数が増加していると言及した上で、感染を防ぐツールや素晴らしいワクチンが十分あるにもかかわらず人々はそれを活用しようとしないと指摘した。

モクダド氏は、フロリダなどの州は今、安全だと錯覚していると語る。フロリダ州は高齢者人口が多く高齢者がワクチンを接種する一方、若い人々は新型コロナウイルスに感染したので、新型コロナウイルスにとって感染する人間がいなくなった状況にあるとの見方を示す。

ただ、いずれの集団も免疫が低下しつつあり、「冬はフロリダ州に大勢の人々が訪れ、感染が再び始まる。我々は高度に互いにつながっている」と語った。

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