デクラーク元南ア大統領、85歳で死去 ノーベル平和賞受賞も評価分かれる

南アフリカでアパルトヘイト時代最後の政権を率いたデクラーク元大統領が死去した/RODGER BOSCH/ AFP/GETTY IMAGES

2021.11.12 Fri posted at 11:59 JST

(CNN) 南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離)時代最後の政権を率いたデクラーク元大統領が死去した。85歳だった。同氏の財団が11日、発表した。同氏は、同国の人種隔離政策撤廃に尽力したとして、後任の大統領となったネルソン・マンデラ氏とともにノーベル平和賞を受賞した。

デクラーク氏は、刑務所に収監されていたマンデラ氏を釈放。民主制への移行をめぐって同氏と困難な交渉を繰り広げ、同国の多数派である黒人に対する少数派の白人政権の支配を数世代にわたって維持させた人種隔離システムを廃止させた。

2人は1993年、人種隔離政策撤廃に尽力したとしてノーベル平和賞を共同受賞。だがデクラーク氏はアパルトヘイトを支えた政権に仕えてきた過去があり、政界引退後も明確にアパルトヘイトを非難することに慎重なそぶりを見せていたことから、長らく評価の分かれる人物であり続けた。

FWデクラーク財団は11日、がんの一種である中皮腫のため、同氏が自宅で死去したと発表。

2004年、マンデラ氏(右)と並んで南アのツツ大主教と言葉を交わす

アフリカーナ(オランダ系白人)の著名な政治家一族で生まれ育った同氏は、弁護士として活動した後、政治家として数々の閣僚職を歴任。また父親のヤン・デクラーク氏も1960年代に重鎮の保守政治家として活動し、75年には一時的に大統領代行を務めた。

デクラーク氏はかつて、同氏の家系および確固たる保守主義から、革命家ではなく反動政治家と広く位置付けられていた。

だがアパルトヘイトの過酷な現実が、暴力沙汰や追放劇をもたらし、反発が強まったことで、最終的には道筋を変更することが必要だと認識。

2012年にはCNNとのインタビューで、自身を「転向者」と評し、「目標は、分離しつつも平等、というものだったが、分離しつつ平等は失敗に終わった」と説明。「我々は、アフリカ各地で変化の風が吹いた際に、もっと早くその流れに乗るべきだった」と話していた。

デクラーク南ア元大統領、85歳で死去

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