英ロンドンのテムズ川に毒ザメがいた、生態系の回復に期待 学会調査

英ロンドンのテムズ川の「健康診断」が行われ、調査結果が発表された/Steve Parsons/PA Images/Getty Images

2021.11.11 Thu posted at 11:22 JST

(CNN) 英ロンドン動物学会は10日、ロンドン市内を流れるテムズ川の「健康診断」を行った結果、タツノオトシゴやウナギ、アザラシ、毒を持つサメなど多様な生物が見つかったと発表した。野生生物や生態系の回復にとっての「朗報」と位置付けている。

テムズ川は1957年、「生物学的な死」を宣告されていた。

しかし今回の調査では、イコクエイラクブカやホシザメ、ツノザメ(体長60センチほどの、毒のあるとげに覆われた細長い魚)といったサメの仲間が見つかった。


ツノザメは背びれに毒を分泌するとげがある/Pally/Alamy Stock Photo

ツノザメは深海に生息するサメの一種で、2枚の背びれの前部に付いたとげには毒があり、人が触れると痛みや腫れを引き起こす。

魚類や甲殻類を捕食するイコクエイラクブカは、成長すると体長約180センチ、体重約48キロに達することもある。英自然保護団体によると、挑発しなければ人を襲うことはないという。

ホシザメは主に貝や甲殻類を餌にする

ホシザメは体長約120センチ、体重約11キロ。ほとんどは甲殻類や貝類、軟体動物を餌にする。

ただ、テムズ川の潮汐区間で見つかった魚類はわずかに種類が減っていたことから、理由を探るためにさらなる研究が必要だと専門家は指摘している。

全長約346キロのテムズ川に生息する115種以上の魚類や92種以上の鳥類は、汚染や気候変動に脅かされている。


体長約1.8メートルにもなるサメの種も確認された/blickwinkel/Alamy Stock Photo

テムズ川は飲料水や食糧の供給源であり、住民の生計を支え、洪水から守る役割も果たしている。

テムズ川の水温は年間平均で0.2度上昇。海面の上昇と相まって、野生生物への影響が懸念される。テムズ川の水位は、潮汐区間の観測が始まった11年以来、上昇が続いており、90年以降は年間平均で約0.43センチ上昇している地点もある。

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