(CNN) ポーランドとベラルーシの国境近くで数千人の移民が足止めの状態となり、凍てつく気候の中、テントなどでの野宿を余儀なくされている。ポーランド側は兵士らを現地に派遣。移民の欧州入りを促しているとして同国と欧州連合(EU)がベラルーシのルカシェンコ大統領を非難するなど、険悪な事態となっている。
ポーランドは、ルカシェンコ氏がEUの東の境界で危機を引き起こそうとしていると非難。移民をなだれ込ませているのは、今年6月にEUと西側諸国から包括的な制裁措置を科されたことに対する報復だとの見方を示す。
ルカシェンコ氏の政権はこれを再三否定し、西側諸国のせいで移民らがひどい扱いを受けていると指摘。時に命にかかわる危険な越境を強いられているとも述べていた。
ベラルーシに対する国際的な批判の声は9日、一段と高まった。EUの執行機関の欧州委員会は、同国をまるで「ギャングの政権」のようだと非難。ルカシェンコ氏は「うその約束」で移民をそそのかし、「容易にEU域内へ入れる」と信じ込ませたと主張した。
8日には移民の集団数組が国境突破を図る場面も見られた。ポーランドの国境警備隊によると、中にはベラルーシの要員に押される形で国境のフェンスに向かってくる移民もいたという。
ポーランドのブワシュチャク国防相はフェンスを越えようとする行為を「攻撃」と形容。今後も間違いなく繰り返されると予測した。
ポーランド当局は9日午前にクジニツァの国境検問所を閉鎖。現場には前日、多数の移民が集まっていた。
同国の国境警備隊の報道官はCNNの取材に対し、現在4500人余りの移民がクジニツァ近くの国境地帯にいて越境を試みていると述べた。
一方、ベラルーシの国境を管轄する国家機関は声明で、現場の移民の数を2000人前後と発表した。
ポーランドは兵士や警官、国境警備隊約1万4000人を現場に派遣。移民が越境しようとすれば大規模な衝突が起きる恐れがあるとの不安が広がっている。
ベラルーシ当局が提供した動画には、厚手の上着に身を包んで小さな焚(た)き火を囲む移民らの姿が映っている。空撮の映像では、国境のベラルーシ側の森近くに複数の野営地が点在する様子がとらえられている。反対のポーランド側では、軍用車とみられる車両の動きが確認できる。