古代のナマケモノ、肉も食べていた 現生の近縁種は草食

南米に生息していた巨大な古代の地上性ナマケモノが、草食動物マクラウケニアの死骸を食べている姿を描いた想像図/Jorge Blanco/American Museum of Natural History

2021.11.09 Tue posted at 11:15 JST

(CNN) 現在のナマケモノといえば樹上生活を送り、ゆっくりと動く草食動物だが、絶滅した古代の近縁種「ミロドン」は肉も食べていた――。そんな新研究の結果が発表された。

この古代の地上性ナマケモノは約1万年前まで南米に生息しており、植物だけでなく肉も食べる雑食動物だった。

論文の筆頭著者であるジュリア・テハダ氏は声明で「彼らが時々死肉をあさっていたのか、あるいは機を見て動物性たんぱく質を摂取していたのか、今回の研究からは判断できないが、すべてのナマケモノが絶対的な草食動物だったという長年の推定とは食い違う強力な証拠が得られた」と指摘する。テハダ氏は米自然史博物館の助教で、仏モンペリエ大学の博士研究員を務めている。

現生するナマケモノは6種のみ。いずれも中南米の熱帯雨林の樹上に生息する。しかし、古代の地上性ナマケモノはゾウほどの体長に達する場合もあり、アラスカから南米の端まで幅広い地域に生息していた。

今回の研究対象となったミロドンは体長3メートル、体重1007~1996キロに達していた可能性が高い。あごや歯、排せつ物の化石の分析からは、ミロドンなどの絶滅した地上性ナマケモノが現生種のように植物を食べていたことがうかがえる。

米自然史博物館に展示されている「ミロドン」の皮膚と排せつ物の化石

ただ、特にその動物が死肉を食べていた場合、こうした手がかりだけでは生前の食生活の全貌(ぜんぼう)は分からない。

そこで研究チームは今回、ミロドンの標本の毛に残されていたアミノ酸の分析を行った。動物が特定の食物を食べるとき、窒素同位体がアミノ酸に含まれており、これが毛や爪などの生体組織や骨や歯のコラーゲンの中に痕跡を残す。

この窒素同位体の情報により、動物が草食だったのか、肉食だったのか、雑食だったのかが分かる。

今回の例では分析の結果、巨大な地上性ナマケモノが植物だけでなく肉も食べていたことが判明した。研究チームはこのナマケモノを「日和見的な雑食動物」と形容。つまり、他の動物の死肉をあさっていたか、もしくは卵から動物性たんぱく質を摂取していた可能性があるという。

研究結果は先月、科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表された。

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