フランスが英国漁船を拿捕、漁業権を巡る争いがエスカレート

二国間協議を行うフランスのエマニュエル・マクロン大統領(左)と英国のボリス・ジョンソン首相(右)=6月21日、英国・コーンウォール/Ludovic Marin/AFP/Getty Images

2021.10.29 Fri posted at 10:19 JST

パリ(CNN) フランス当局は29日までに北西部ルアーブル港沖合の英仏海峡で英国漁船を拿捕(だほ)したと発表した。英国のトロール漁船に対してフランスのほぼ全ての港の利用を認めないとの措置も発表し、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後の漁業権を巡る争いがエスカレートしている。

フランスのボーヌ欧州問題担当相は同国のテレビ局CNEWSのインタビューで、魚の水揚げなどを行う船を念頭に「一部の例外を除き英国船はフランスの港を全て利用できなくなる」と発言した。

封鎖措置は来月2日から施行される。3~4カ所の港は開かれたままとなる見通しだが、正式な数は今週末に決まる。

ボーヌ氏は27日夜に開始した保安検査で「規則を順守しない」2隻の船が停止させられたと明らかにした。

ジラルダン海洋相も2隻の船の停船を確認し、罰金を科した上で1隻をフランスの港に向かわせたと述べた。この1隻はEUの英国漁船の承認リストに記載のない船で、自治体がただちにルアーブル港に向かうように命令を発したという。

英政府報道官はフランス側が示した措置は「正当化されない」とし、英国との合意や国際法に沿うものではないとの見解を示した。フランス政府の対決姿勢を鮮明にする言葉遣いにも遺憾を表明し、フランス大使を呼び出すことを決めたとも述べた。

ジラルダン氏によると、もう1隻はフランス当局が乗船して検査を行うことを認める規則に違反したとして罰金が科された。フランス海上憲兵隊がさらに調べた結果、他の漁業規則違反の行為は認められなかった。

二国間協議を行うフランスのエマニュエル・マクロン大統領(左)と英国のボリス・ジョンソン首相(右)=6月21日、英国・コーンウォール

同氏はまた、今後の手続きの結果、漁船の漁獲や船自体が保釈金の支払いで押収される初の事例となる可能性もあると言及。船長には刑事制裁のリスクもあると述べた。

英仏間ではブレグジット後の双方の領海における漁業権を巡る争いが長く続く。今回フランスが発表した措置は、英国がフランスの一部漁船にブレグジット後の漁業許可を認めなかったことへの報復となる。

フランスのカステックス首相は28日、英国領海でのフランスの漁業申請の約40%が認められていないと述べた。この数値は漁区によって異なる。一方、英政府報道官は同日、EU漁船の申請の98%に許可が与えられていると述べた。

フランス政府によると、来月2日から英国を対象とした措置には関税や衛生検査の強化、英国船舶や英国との出入りをするトラックの検査強化などが盛り込まれている。第2弾の措置も準備が進められ、英国へのエネルギー供給の再検討も排除しないとしている。

欧州委員会の報道官はEUが英仏両国との協議を継続し問題解決を目指していると発表。「許可を受ける資格がある全てのフランス船舶が許可をもらうべきだ」と述べ、これまでこれらの海域で操業していた漁船は漁業継続が認められるべきだとの認識を示した。

仏、英国漁船を拿捕 EUが両国と協議を継続

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