(CNN) コロンビア沖の大西洋で先週、エクアドル海軍に属する3本マストの帆船が、麻薬密輸用の「潜水艇」を拿捕(だほ)した。エクアドル軍が声明で明らかにした。18世紀の技術が20世紀後半に起きた犯罪の技術革新に勝利した形だ。
この帆船は海軍士官候補生の訓練に使われるバーク「グアヤス」。声明によると、コロンビアの排他的経済水域(EEZ)と、太平洋にあるエクアドル領の島々のEEZとの間の公海上で麻薬密輸用潜水艇を阻止した。
声明はエクアドル人3人とコロンビア人1人が拘束されたと述べたものの、潜水艇に積載されていた可能性のある麻薬の種類については詳細を明かさなかった。この潜水艇は船外のエンジン3基によって駆動されていた。
一方、帆船「グアヤス」は全長78メートルで、計1393平方メートル以上の帆によって推進する。エクアドル軍によると、麻薬艇を発見したのは訓練中だった。
麻薬密輸潜水艇の大半は実際には「低乾舷船(LPV)」で、本質的には船倉の大半が水面下に入るボートだが、「半潜水艇」と呼ばれるより高度な船もある。こちらはハッチと空気取り入れ口のみが水面上に出る設計になっている。
LPVが最初に登場したのは1990年代後半。コロンビアの麻薬カルテルは当時、米法執行当局によるカリブ海でのパトロールをかいくぐり、違法な貨物を米国内に運び込むための方法を探していた。
一方、帆船の最盛期は18世紀と19世紀初頭、英仏スペインのような欧州列強が商船を守るために海軍艦隊を構築していた時代にさかのぼる。1800年代半ばに蒸気動力が登場したことで、帆を動力とする軍艦はお払い箱となった。
ただ、一部の国は今でも新兵に基礎的な操船術の訓練を行う目的で帆船を使っており、英ウェブサイトの「トール・シップス・ネットワーク」によると、コロンビアやベネズエラ、メキシコの軍隊ではグアヤスの姉妹船が使用されている。