韓国、ダミー衛星の軌道投入に失敗 初の3段式ロケット打ち上げ

韓国が開発した3段式ロケット「ヌリ号」=21日、韓国南部・全羅南道・羅老(ナロ)宇宙センター/Korea Pool/Yonhap/AP

2021.10.22 Fri posted at 10:33 JST

ソウル(CNN) 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は21日、自国開発の3段式ロケット「ヌリ号」の初の打ち上げを同日実施したが、ダミー衛星の軌道投入に失敗したと発表した。

文氏は「目標を完全に達成できなかったことは残念だが、初の試みですばらしい成果を上げた」と述べた。

文氏はまた、ロケットが打ち上げのすべてのシーケンスを完了し、高度700キロに達したことを「誇りに思う」とも述べた。ヌリ号は2027年までに5回の打ち上げが予定され、次回は来年5月となる。

韓国は10年以降、ヌリ号の製造に2兆ウォン(約1900億円)を投資してきた。

韓国航空宇宙研究院(KARI)によると、21日の打ち上げが成功していれば、韓国は1トン以上の衛星打ち上げ能力がある運搬ロケット開発に成功した7番目の国となっていた。既にロシア、米国、フランス、中国、日本、インドが成功している。

韓国はアジアの隣国との宇宙競争に苦心してきた。09年と10年にロシアの開発したエンジンを搭載したロケットを打ち上げたが低軌道への到達に失敗。13年には成功したが開発にロシアの技術を利用していた。

発射台に設置された韓国のロケット「ヌリ号」

韓国語で「世界」を意味するヌリ号は、自国の技術で作った初の国産ロケットで、さまざまな衛星やミッションへの道を開くことが期待されている。

朝鮮半島では北朝鮮が核を搭載する弾道ミサイル計画で制裁を受けており、宇宙への発射はデリケートな問題をはらんでいる。

韓国の宇宙計画には監視やナビゲーション、通信を行うさまざまな軍事衛星の打ち上げが含まれている。ただ、ヌリ号自体は兵器としては使われないと当局者は語る。

当局者はロイター通信に対し、自国の運搬ロケットを持つことで、韓国は搭載物のタイプや発射スケジュールを柔軟に選べるようになり、偵察衛星のような「秘密の」搭載物を守ることもできるようになると語った。韓国は現在、北朝鮮に関する衛星情報を米国に完全に依存している。

韓国は宇宙探査も視野に入れている。米航空宇宙局(NASA)と共同開発した初の月探査機は来年8月に打ち上げ予定。約1年間月を周回し、地球周回軌道を越える韓国初のミッションとなる。

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