バイキング、1000年前の時点で北米に定住 木片の年代分析で判明

ニューファンドランド島の入植地近くに再現されたバイキング時代の建造物/Glenn Nagel Photography/Shutterstock

2021.10.22 Fri posted at 14:00 JST

(CNN) かつて北欧を起点に各地を征服したバイキングは帆船に乗って大西洋を渡り、今からちょうど1000年前の1021年には北米のカナダに入植していたとする新たな研究結果がこのほど発表された。米州地域にやってきた最初期の欧州人について、具体的な年代が示された形だ。

研究ではバイキングが残した木片を分析した。場所はこれまで年代が特定されていなかったカナダ東部沖合にあるニューファンドランド島の入植地。大西洋を渡って米州にたどり着いた人間の記録としては、これまで知られる中で最も古いものになる。

年代特定の決め手になったのは、道具によって切り出した木片と1000年以上前に発生した太陽風だ。

「ランス・オ・メドー」の名で知られるこの入植地にたどり着いたバイキングは、金属製の刃を使って木々を切り倒した。当時現地に暮らしていた先住民はこうした道具を作っていなかった。入植地には異なる3本の木から切り出した木片が残されていた。

木片の年輪を調べたところ、西暦993年のものとして知られる特徴を確認。この前年、巨大な太陽風が発生し、高エネルギーの粒子からなる宇宙線が太陽から光に近い速度で放出されたことが分かっている。

論文の筆頭著者を務めたオランダ・フローニンゲン大学のマイケル・ディー准教授によると、太陽風の影響で世界中の年輪の記録には992~3年の時点で放射性炭素濃度の著しい上昇がみられる。

ランスオーメドーで見つかった木片の年輪からバイキングの定住した年代が特定された

前出の木片には同じ特徴が表れており、その部分から樹皮まではさらに29本の年輪が形成されていた。

従って、当該の木が伐採されたのは992年から29年後の1021年だったと、研究者らは結論している。

この発見を含む研究論文は20日刊行の科学誌ネイチャーに掲載された。

ディー准教授によれば、これらの木片の記録は人類が大西洋を横断しての探索・移住を行った最古の証拠となる。バイキングはランス・オ・メドーに到達する前、アイスランドやグリーンランドにも定住していた。

「バイキングが危険を冒して西へ向かったのは、新たな原材料を見つけるためだったと考えられている。木材はその最たるものだ」「そうした物資を求めて大陸間を行き来する活動は、グローバリゼーションの最初の一歩と形容されている」(ディー氏)

バイキングが米州への航海を具体的に何度行い、どのくらいの期間現地で暮らしていたのかは分かっていない。現時点での証拠によると短期間の定住にとどまった公算が大きいとみられるが、ランス・オ・メドーからはバイキングが定住期間中にニューファンドランド島の南の地域まで探索していた証拠も見つかっている。

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