宣教師団17人誘拐、ギャング団が身代金20億円要求 ハイチ

ハイチのポルトープランス郊外にあるキリスト教支援団体=18日/Ralph Tedy Erol/Reuters

2021.10.20 Wed posted at 10:50 JST

ハイチ・ポルトープランス(CNN)  カリブ海の島国ハイチで米国人とカナダ人宣教師の一行17人が誘拐された事件で、ハイチ司法相は19日、犯行グループが人質1人につき100万ドル(約1億1000万円)の身代金を要求していることを明らかにした。

米国人16人とカナダ人1人の一行は16日、首都ポルトープランス近郊のクロワデブーケにある児童養護施設を訪問後、強い勢力をもつギャング団「400マオゾ」に誘拐された。

ハイチは政情不安に陥って治安が悪化、質の高い医療も受けられず、極度の貧困状態にある。そうした中で無差別的な誘拐事件が多発していた。

同国のリスト・キテル司法相はCNNの取材に対し、犯行グループが17人を解放する条件として1700万ドル(約20億円)を要求してきたと語った。

宣教師らが所属する米国のキリスト教支援団体によると、誘拐された一行は男性5人と女性7人、子ども5人で構成される。5人の子どもは生後8カ月の乳児と3歳、6歳、13歳、15歳で、大人は18~48歳だった。

宣教師らは誘拐される前に児童養護施設を訪れていた

キテル司法相によると、ハイチ警察と米連邦捜査局(FBI)が同団体に助言しながら交渉を続けている。FBIは現地に捜査員を派遣して捜査を支援しているが、交渉は主導しておらず、犯人グループとの直接的な交渉も行っていないという。

人質は、ギャング団が支配するクロワデブーケ郊外のどこかに拘束されていると司法相は述べ、「誘拐犯は人質に危害を加えると警告している」と語った。

ハイチ治安当局の関係者によると、現時点で人質は全員が無事で、当局が接触しているギャング団のメンバーも冷静で苛立った様子は見せていないという。

誘拐された宣教師団は8月の大地震で被災した人たちのための再建プロジェクトにかかわるなど、現地で支援活動を続けていた。

ポルトープランスの人権団体CARDHによると、ハイチで急増する誘拐事件の大部分は400マオゾが関与している。ギャング団のメンバーは日常的に警察との衝突を繰り返しているという。

宣教師らが所属するキリスト教支援団体=17日、米オハイオ州ベルリン

治安部隊の関係者が17日にCNNに語ったところによると、400マオゾはこの3年の間に勢力を拡大してメンバーは最大で150人に増え、クロワデブーケを実質的に支配するようになった。

CARDHによれば、400マオゾの犯行はかつては自動車泥棒が中心だったが、今はバスや車から大勢の集団を誘拐する犯行を繰り返すようになった。

被害者の大部分はハイチ市民で、同国の誘拐事件は今年7月以来、ほぼ4倍に増えている。今年1月以来発生した少なくとも628件の誘拐事件のうち、29件は外国人が被害者だった。400マオゾが要求する身代金は通常、2万ドル前後だという。

キリスト教支援団体の関係者は宣教師団について「非常に献身的で、自分たちの命を危険にさらしてきた。自分たちの身に降りかかる危険は承知の上だったか、少なくとも何が起こり得るかは認識していた」と話している。

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