ウェディングドレスとともに夫婦で世界旅行 「何度でも着たいから」

エジプトを訪れたサマンサ・マシューさん=7月2日/Courtesy Samantha Mathew

2021.10.16 Sat posted at 20:00 JST

(CNN) ウェディングドレスを一生に1度しか着ないのはもったいない――。そんな気持ちが始まりだった。結婚式から2年半足らずで、サマンサ・マシューさんのドレスはすでに世界13カ国を旅している。

サマンサさんが国際線に乗る時は、いつも真空バッグに詰めたウェディングドレスが一緒だ。発達障害児を対象とする行動分析の専門家サマンサさんと、医師の夫アンドリューさんは、ともに29歳。旅行好きの夫婦はハネムーンと結婚記念日に世界の名所を訪ね、行く先々で必ずドレス姿の写真を撮ってきた。

サマンサさんはもともと、1回限りのドレスにお金を使うのは非実用的という考えで、中古か安物を買うつもりだった。ところが実母からは「あこがれのドレスを」「ぜひ新品を」と強く勧められた。

店で豪華なドレスを手に取ってみたが、6000ドル(約68万円)の値札に目が飛び出た。高価な買い物をするのなら、1回で終わらせたくない。2人は相談して、ハネムーンにドレスを持ち歩くことにした。その後も毎年、記念日ごとに旅先で着ればいい。

ドレスショップで「丸めてバッグに入る、持ち運びしやすいタイプを」とリクエストしたら、店員に変な顔をされたという。

エジプトのアブ・シンベル神殿前にて

探し回った末に出会ったのは、アイボリーのシフォンとレースのドレス。体形にも条件にもぴったりで、価格は1300ドルだった。

2人とも大げさな結婚式は望んでいなかったので、アンドリューさんの家族がいるダラス近郊の教会で式を挙げ、サマンサさんの出身地である南フロリダで友人や家族とささやかなパーティーを開いただけ。その代わり、3週間のハネムーンに多くの時間と資金を注いだ。

目的地はロンドン、マラケシュ、ローマ、ケニアのマサイマラ、バリ島、バンコク、そして北京。最初はロンドンでの12時間の乗り継ぎの間に、バッキンガム宮殿へ向かった。旅先の初撮影では、観光客の団体が髪型を直したりドレスを整えたり、ポーズを決めたりと協力してくれた。


英ロンドンのバッキンガム宮殿前で撮影。観光客らが撮影に協力してくれた/Courtesy Samantha Mathew

旅を繰り返して、今では着替えもすっかり慣れた。ショートパンツに白いタンクトップを着ておけば、すぐに変身できる。写真を投稿するSNSのアカウントは公開していないから、自分たちと家族、親しい友人、あるいは将来の子どもたちのための、ごく内輪の行事だ。

ギリシャ首都アテネにあるアクロポリスにて撮影

アンドリューさんも最初のうちはスーツ姿で登場していた。最近は撮影係に徹しているが、サマンサさんからのリクエストで隣に並ぶこともある。

2019年の結婚記念日にはコスタリカを訪ねた。パンデミック(世界的大流行)のさなかだった昨年は、ロサンゼルスの自宅で記念撮影をした。


2020年5月の2回目の結婚記念日は米ロサンゼルスの自宅で過ごした/Courtesy Samantha Mathew

新型コロナウイルスワクチンの接種を済ませた今年は、そろって2カ月の休みが取れた。ペルーで2週間過ごしてから数日間だけ自宅へ戻り、さらに6週間かけてイタリア、ヨルダン、エジプト、ケニア、ギリシャ、クロアチアを回った。

普段なら同じ場所を繰り返し訪れるタイプではないが、イタリアとケニアはとても気に入ったし、渡航者を受け入れていたこともあって再訪した。サマンサさんは「パンデミック下の旅は勝手が違ったけれど、不可能ではなかった」と話す。

今のところ次回の計画は立っていないが、夫婦はドレスを持って旅行を続けるつもりだという。着古して布切れ1枚になったら「私たちの娘のドレスに縫い付けてもいいし、額に入れてもいい」と、サマンサさんは思い描く。このドレスは2人に、今後もたくさんの思い出をつくってくれそうだ。

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