シンガポールとマレーシア、旅行制限を緩和 「ウィズコロナ」へ

マレーシアやシンガポールなどアジアの一部の国々で、新型コロナウイルスの流行を抑止するための規制措置について、緩和の動きが出てきている/Vincent Thian/AP

2021.10.12 Tue posted at 15:49 JST

(CNN) 欧米やアジア太平洋諸国で新型コロナウイルス感染対策の厳しい行動制限を見直し、ウイルスと共存する方針に転じる動きが出始めるなか、シンガポールとマレーシアが相次いで旅行制限の緩和を発表した。

シンガポール政府は9日、新型コロナウイルスワクチンの接種が済んだ入国者を隔離措置なしで受け入れる「ワクチントラベルレーン(VTL)」の対象国に、今月19日から欧米の8カ国を追加すると発表した。昨年3月に国境を封鎖して以来、最も大幅な渡航制限の緩和となる。

同国は世界でもワクチン接種率が高く、すでに人口の80%以上が接種を完了したが、デルタ変異株の感染拡大で新規感染者や死者が急増している。

一部地域では今月1日、社交上の集まりの人数を2人以下とし、12歳以下の対面授業を中止するなどの制限が復活した。9日には感染者3703人、死者11人と過去最多を記録。それでも政府は「復活と再建」計画の一環として、VTLの枠組み拡大を決めた。

イスワラン運輸相によると、これで計11カ国からの旅行者が隔離なしで入国できる。


新型コロナウイルスのワクチン接種会場=7日、シンガポール/Roslan Rahman/AFP/Getty Images

リー首相は9日、国民への演説で「ロックダウン(都市封鎖)を無期限で続けるわけにはいかない」と語り、失業や家族との離別、事業閉鎖による精神的な負担は大きいと強調した。

リー氏は一方で、制限を完全に撤廃できるまでには少なくとも3カ月、長ければ6カ月かかるとの見通しを示し、今後も新たな変異株の出現などで感染者が急増した場合は、医療体制を守るために「またブレーキを踏まなければならないこともあり得る」と予告した。

客のいない飲食店のテーブル=5日、シンガポール

一方、マレーシアのイスマイルサブリ首相は10日、国内でワクチン接種を完了した成人の割合が90%の目標ラインに達したことを受け、11日以降は接種完了を条件に国内外の旅行制限を解除すると発表した。

同国では長期化するロックダウンに国民の不満が高まるなか、8月にムヒディン前首相が辞任に追い込まれていた。1日当たりの感染者は6~8月に急増した後、減少傾向が続いている。

イスマイルサブリ氏は10日の記者会見で「新型コロナ感染症が完全に撲滅されることはないかもしれない」と指摘したうえで、今後は感染者が増加しても広範なロックダウンを導入しないと言明した。

ワクチン接種が済んだ国民は今後、海外渡航に当局の許可を得る必要がなくなる。これまでは出張や緊急の場合以外、許可が出ていなかった。全国で禁止されていた国内の旅行も認められる。外国人の入国は今のところ禁止だが、再開が検討されている。

ロイター通信によれば、東南アジアではこのほか、ベトナムが12月以降、主要観光地で感染リスクの低い国から訪れるワクチン接種済みの旅行者を受け入れ、来年6月には全面再開を目指すと発表している。


部分的なロックダウン(都市封鎖)の解除を受けてバリケードを撤去する警官=11日、マレーシア・パハン州/Mohd Rasfan/AFP/Getty Images

ロイター通信によれば、インドネシアでも行動制限の緩和が進み、14日以降はバリ島が中国、ニュージーランド、日本などからの観光客受け入れを開始する。ただし自費での8日隔離が条件だ。

オーストラリアのシドニーでは11日、6月から続いていた厳しいロックダウン措置が解除された。同市では成人の約70%がワクチン接種を済ませている。

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