ニューデリー(CNN Business) インドが今後数カ月間に電力不足に見舞われる可能性が出てきている。発電所の多くで燃料となる石炭の在庫が危機的水準に落ち込んだためだ。アジアの経済大国では中国もエネルギー危機に見舞われている。
インド中央電力庁(CEA)の5日の報告によれば、135ある石炭火力発電所のうち最大63カ所で石炭の供給が2日以下となっている。17カ所では、石炭の在庫がゼロの水準に落ち込んでいるという。
75カ所で石炭の量は5日以下となっているが、これはCEAでは「極めて危機的」な水準とみなされている。こうした発電所が数日中に電力網から外れることはないものの、さらなる石炭供給の混乱や電力需要の急増に対して極めて脆弱(ぜいじゃく)な状態となっている。
インドの電源構成に占める石炭火力の割合は約70%となっている。
インドでは、年頭からの新型コロナウイルス感染症による打撃から経済活動が回復するなかで、電力需要が急増している。電力省は9月、エネルギー需要の増加は経済にとって良い兆候であり勇気づけられると指摘。より多くの家庭が電力に支出できるようになり、産業界も新型コロナウイルスの流行前の水準に戻りつつあることを意味しているとしていた。
インドでは、モンスーンの大雨で採掘や輸送に影響が出ていた。
インド国内の石炭生産大手コール・インディアに対しては生産量を引き上げるよう要請が出ている。しかし、アナリストによれば、石炭の供給逼迫(ひっぱく)が早期に改善されない場合、発電会社は石炭輸入のための大幅な負担に直面し、景気回復にも影響がでる可能性がある。