「ワクチンは個人の選択とすべき」、義務化に抵抗する看護師の懸念 米

米国でワクチンの義務化に抗議する人々/Mark Felix/AFP/Getty Images

2021.10.01 Fri posted at 15:00 JST

(CNN) 米ウィスコンシン州の病院に勤務するアンドリア・バビンスキーさんは、看護師の仕事は自分にとっての全てだと言う。それでも自分の信念のために、仲のいい同僚も、看護している患者も、安定した収入さえも、全て手放すことをいとわないと話した。

バビンスキーさんには、新型コロナウイルスワクチンを接種するかどうかの判断は、個人の医療上の選択とすべきだとの信念がある。自身は今のところ、接種しないことを選んできた。

自分は反ワクチン派でも、新型コロナのワクチンに反対しているわけでもなく、父親には接種を勧めたとバビンスキーさんは言う。

新型コロナの流行が始まってからはずっと、個人防護具に身を包み、新型コロナ病棟に配置されて、悲惨な状態に陥った患者を目の当たりにしてきた。

それでも自分にとってワクチンは最善の選択ではないと判断し、接種するかどうかは自分自身で判断すべきだとの考えは変わっていない。

しかし勤務先の病院の考えは違った。米国では多くの病院が、患者や職員を守るなど安全上の理由から、新型コロナのワクチン接種を義務付けている。

バビンスキーさんは11月1日までに接種しなければ解雇される可能性がある。失業給付金さえ受給できないかもしれない。

「これほど長い間情熱を注いできた仕事なのに、突然解雇を告げられる打撃は大きい」とバビンスキーさんは打ち明けた。

同病院によると、これまでにスタッフの約85%がワクチン接種を受けた。その中にバビンスキーさんは含まれていない。

「接種するかどうかは個人の選択に委ねるべき」と主張するバビンスキーさん(右)

バビンスキーさんは繰り返し、自分は反ワクチン派でもなければ、新型コロナワクチンにも反対しないと強調した。狂気じみた陰謀説は信じないし、政治的、宗教的に反対しているわけでもないという。

ただ、これは個人で判断すべきことであって、強制されるべきではないとバビンスキーさんは訴える。研究についてはまだ多くの疑問があり、自分にワクチンが合うかどうかも疑問があることから、自分は接種を望んでいないと話した。

「看護師として、私たちの全キャリアを通じ、私たちはどんな治療や医薬品であっても、常にインフォームドコンセント(十分な説明を受けたうえでの同意)に基づく患者の選択や拒絶を尊重してきた」とバビンスキーさんは指摘する。「患者本人が望まないのであれば、家族や他人の言うことは問題ではない」

「これは自分の身体のことであり、最終的に責任を持てるのは自分しかいない」

同僚が接種をためらう理由は人によってさまざまだった。バビンスキーさんは自己免疫疾患や血液凝固障害があり、ワクチンが自分の健康に及ぼす影響に不安を感じるという。

「現時点ではまだ研究が不十分だと感じる」「自分の体内に別のトリガーが入り、それが突発的に状態を悪化させないかと心配している」

これまでの研究では、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンについてはわずかに異常な血液凝固反応のリスクがあることが示されているが、モデルナやファイザーのワクチンでは示されていない。

「私の意見では、現時点で大規模な接種はすべきではない。健康被害が現時点で起きていたり、特定の人々に影響が出ていたとしても、把握するのは難しい」「有害性があるのかないのかは、本当のところ誰にも保証できない」とバビンスキーさんは訴える。

米疾病対策センター(CDC)は、長期的な健康問題につながる深刻な副反応の可能性は「極端に低い」としている。

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