女性殺害の英警官に仮釈放なしの終身刑 誘拐と強姦、殺人の罪で

仮釈放なしの終身刑の判決を受けたウェイン・カズンズ被告(48)/Metropolitan Police/AP

2021.10.01 Fri posted at 09:30 JST

ロンドン(CNN) 英ロンドンの中央刑事裁判所は9月30日、女性の殺害を自供したロンドン警視庁の警官に対し、誘拐、強姦(ごうかん)、殺人の罪で仮釈放なしの終身刑を言い渡した。

検察によると、ウェイン・カズンズ被告(48)は今年3月3日、帰宅途中のサラ・エバラードさん(33)に警察の身分証を提示し、新型コロナウイルス関連の規則違反と偽って手錠をはめ、自分の車に引き入れた。その後カズンズ被告はエバラードさんを強姦し、警察のベルトを使って絞殺した。

仮釈放なしの終身刑は英国では非常にまれで、きわめて重大な事件にのみ適用される。同国の7000人近い無期刑の受刑者のうち仮釈放なしの終身刑は60人しかいない。

アンドリアン・フルフォード裁判官はエバラードさんについて「グロテスクに行われた一連の犯罪の潔白の犠牲者」と述べ、「ひどく、悲惨で、完全に残虐な」事件だったと形容した。


裁判が行われた英ロンドンの中央刑事裁判所/Daniel Leal-Olivas/AFP/Getty Images

裁判官によると、カズンズ被告は3月3日夕、誘拐と強姦を目的に独りでいる女性を探していた。ロンドン警視庁は7月、カズンズ被告が罪を認めたことを受けて被告を解雇した。

法廷でのカズンズ被告は目を閉じてうなだれた様子だったという

裁判官は被告に対し「あなたはサラ・エバラードさんの家族や友人の人生に取り返しのつかない傷を与え、市民が警察に寄せる信頼を傷つけ、自分の家族を完全に裏切った」と述べた。

被告席に立ったカズンズ被告はうなだれて目を閉じていた。裁判官は法廷での被告の姿勢について「真の悔恨が見られない」と批判した。

カズンズ被告の弁護士は被告が早期に罪を認めた点や、心から悔いていること、潜在するうつ状態、前科がないことなどを理由に仮釈放なしの終身刑を科さないように主張したが、認められなかった。

法廷にはエバラードさんの家族や友人が集まった。判決を受けて家族はカズンズ被告に言い渡された量刑に満足しているとコメント。「状況をよくしたり、サラを元に戻してくれるものは何もないが、彼が永遠に服役すると知って少し安堵(あんど)した」と述べた。


裁判所の外でサラ・エバラードさんの名前を持つ女性=9月30日、英ロンドン/Daniel Leal-Olivas/AFP/Getty Images

英国ではエバラードさんの事件をきっかけにソーシャルメディア上で女性から悲しみや怒りの声が相次ぎ、性的暴行の経験談を共有する動きが広がった。英国での女性や少女に対する暴行事件のまん延にも注目が集まるようになった。

女性殺害の英警官に仮釈放なしの終身刑

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