女性殺害の英警官、警察の身分証と手錠使い被害女性を誘拐 検察

被害者のサラ・エバラードさん/Handout/Metropolitan Police

2021.09.30 Thu posted at 13:09 JST

ロンドン(CNN) 今年3月に発生した英警官による女性殺害事件で、この警官が殺害前に被害女性を誘拐する際、警察の身分証と手錠を使って女性をだまし、車に連れ込んでいたことがわかった。検察が29日、ロンドンで開かれている刑事裁判で明らかにした。

ウェイン・カズンズ被告は被害者のサラ・エバラードさんの誘拐と強姦(ごうかん)、殺害を認めている。

エバラードさんは3月3日夕、英ロンドン南部クラップハムの友人宅を出た後行方不明となった。数日後、最後の目撃場所から約80キロ離れたケント郡アシュフォードの林で遺体が見つかった。

その後当局は遺体発見現場に近くに住むカズンズ被告を自宅で逮捕した。2人は知り合いではなかった。

ウェイン・カズンズ被告

検察によると、カズンズ被告は路上にいたエバラードさんを新型コロナウイルス関連の規則違反で逮捕すると偽って、レンタカーの中に引き入れた。その際、エバラードさんに対して身分証を提示し、手錠をかけたという。

この様子を見ていた複数の目撃者によると、エバラードさんが従順な様子でうなだれていた。目撃者は覆面警官が女性を逮捕したのだと思ったという。

エバラードさんは誘拐後数時間は生きていて、カズンズ被告の所有する車に移された。被告はエバラードさんが逃げ出したり音を立てたりしないように脅迫していたと検察は推測する。エバラードさんは翌4日午前2時半ごろに殺害されたとみられている。

検察によると、カズンズ被告は精神科医に対し、警察のベルトを使ってエバラードさんを殺害したと自白。その後被告は林に遺体を遺棄して燃やした。

エバラードさんの殺害事件は性的暴行に対する抗議へと発展している

その数日後には、カズンズ被告は同じエリアを妻と子ども2人を連れて訪れている。事件当日の夜、被告は家族に仕事中だと告げていたという。

29日の量刑の審理では、エバラードさんの遺族が感情をあらわにして発言した。母のスーザンさんは「カズンズ被告が倒錯した欲望を満たしたいがために娘の命は失われた。被告は娘をくず同然に扱い、ごみのように処分した」と訴えた。

カズンズ被告は30日に判決が言い渡される。無期刑が科される見込みだが、検察側は仮釈放のない終身刑を求めている。

英国ではエバラードさんの事件をきっかけにソーシャルメディア上で女性から悲しみや怒りの声が相次ぎ、性的暴行の経験談を共有する動きが広がった。英国での女性や少女に対する暴行事件のまん延にも注目が集まるようになった。

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