国連本部・ニューヨーク(CNN) ロシアのラブロフ外相は26日、西アフリカ・マリが国内の治安をてこ入れすべく、ロシア人傭兵(ようへい)を雇い入れる計画であることを明らかにした。
米ニューヨークの国連本部で記者会見に臨んだ同外相は、フランスがマリに駐留する自国軍の軍事力を縮小する計画に言及。「同地においてテロ根絶支援の義務を担う者からの外部支援が縮小されることを考慮し、彼ら(マリ政府)はロシアの民間軍事会社に頼ることにした」と述べた。
マリのマイガ首相は25日、国連総会で演説し、テロなどの犯罪的な暴力行為がまん延する状況を挙げ、治安面での新たな戦略の必要性を主張。国民は「大量殺りく、村落の打ち払い、罪のない人々への切り付け、またその際に女性たちやその赤ちゃんが生きたまま焼かれる」事態に直面し、極限に達しているとした。
同首相はまた、フランスが部隊を撤退させるという「一方的」な決定により同国を見捨てたと非難。マリ政府が「他のパートナーを探す」ことは今や正当化されると述べた。
フランスは長い間、西アフリカ地域における安全保障の有力な担い手だった。仏国防省によると、9月時点で同国は5100人規模の部隊をサヘル地域に位置するチャド、マリ、ニジェール、モーリタニア、ブルキナファソの5カ国に展開している。
だがマクロン仏大統領は今年6月、サヘル地域に仏軍が展開する現状に終止符を打つと宣言。徐々に多国籍の任務部隊へ移譲する考えだ。
ただフランス政府はすでに、国連総会に並行して先週開かれたルドリアン仏外相とラブロフ外相の会談で、ロシア人傭兵がマリに存在する可能性に対して懸念を表明していた。
ルドリアン氏はその中でロシアの民間軍事会社「ワーグナーグループ」に言及。同社はプーチン氏に近い新興財閥のエブゲニー・プリゴジン氏から資金提供を受けているとみられ、同社の傭兵がリビアや中央アフリカ、シリア、モザンビークで人権侵害に関与しているとの報告がある。