人類の北米到達、当初の見方よりはるか前 2万年余前の足跡化石から判明

足跡からは当時の生活もかいま見える/Courtesy Mattew Bennett/Bournemouth University

2021.09.24 Fri posted at 18:48 JST

(CNN) 英ボーンマス大学や米地質調査所などの研究チームは23日、米ニューメキシコ州で見つかった足跡の化石を調査した結果、人類の北米大陸到達は少なくとも2万3000年前にさかのぼるという初の明確な証拠が得られたと明らかにした。当初の見方よりも大幅に早い年代となる。

北米と南米は人類が最後に定住した大陸だが、定住が始まった正確な時期については考古学者の間で意見が分かれている。

一般的な見方では、人類は氷河期末期の1万6000~1万3000年前ごろ、かつてアジアと北米をつないでいたベーリング地峡を通って北米に到達したとされる。ただし最近の発見では、人類がもっと早い時期に北米にいた可能性も示唆されている。


米地質調査所の研究者が足跡の調査をする様子/Courtesy Mattew Bennett/Bournemouth University

ボーンマス大教授で足跡の化石の専門家、マシュー・ベネット氏は「米大陸への人類の移住については長年議論があり、多くの考古学者はほとんど宗教的な情熱をもってさまざまな見解を持っている」と説明する。

同氏が執筆した論文は23日付の学術誌サイエンスに発表された。

ベネット氏らは今回、ホワイトサンズ国立公園のトゥラロサ盆地で見つかった61の足跡について、その上下に保存されていた水生植物の種の放射性炭素年代測定によって正確に年代を特定することに成功。その結果、これらの足跡は2万3000~2万1000年前にできたことが判明した。

足跡の上と下の層にあった種子を利用して年代が特定された

ベネット氏によれば、この時期に北米大陸南西部に足跡が存在したことを踏まえると、人類は従来の見方よりも大幅に早く北米大陸に到着していた可能性が高いという。

「最終氷期極大期」と呼ばれる2万6000~1万9000年前の時期には、2つの巨大な氷床が同大陸の北側3分の1を覆い、南は現在のニューヨーク市やシンシナティ、アイオワ州デモインまで達していた。氷や低温のため、当時はアジアとアラスカの間の往来が不可能だったとみられ、足跡を残した人々はこれより大幅に早い時期に到着していた可能性が高い。

ベネット氏は「これは初の明確な遺跡であり、最終氷期極大期の頃に人類が米南西部にいたことを示す素晴らしいデータだ」と話している。


研究対象となった足跡の一つ/Courtesy Mattew Bennett/Bournemouth University

同盆地で8年間、人間や動物の通り道を調査してきた地質考古学者のデービッド・レーシャル氏は、今回特定された年代について「極めて具体的」に見え信頼できると評価しつつも、このエリアから石器などの人工物が見つかっていないことから、さらに多くの研究が行われる必要があるとの見解を示した。

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