ベイルート・レバノン(CNN) レバノンの首都ベイルートの港湾地区で昨年発生した爆発をめぐり、同国のイスラム教シーア派組織ヒズボラが最近、調査に当たっている裁判官に対して脅迫のメッセージを口頭で伝えていたことが分かった。状況を知る情報筋がCNNに対して明らかにした。
この情報筋によると、ヒズボラの高位メンバーであるワフィク・サファ氏は、名前が明かされていない仲介人を通して、タレク・ビタル裁判官を脅迫。メッセージの内容を伝えた仲介人は、同裁判官の知人かつ信頼を寄せる人物で、サファ氏の名前を言及していたという。
調査に当たっている裁判官のタレク・ビタル氏/from national news agency
サファ氏はイランの支援を受ける武装組織ヒズボラの連絡調整部門のトップを務めている。2019年には、輸出入禁制品を密輸し、移動を容易にするため、レバノンの港湾および国境検問所を利用しているとして、同組織を代表して米財務省の制裁リストに加えられた。
情報筋によると、ビタル裁判官に宛てたメッセージは、「今回の法的事案の行く末まで付き合うが、丸く収めない場合には我々はお前を奪う」などの内容だったという。
このメッセージは22日、レバノン放送協会の記者のツイートによって初めて報じられた。
ピタル氏を「奪う」との脅迫が何を意味するのか明確ではないものの、同裁判官が物理的な危害を加えられるリスクを懸念する声が上がっている。
ヒズボラの幹部、ワフィク・サファ氏=2018年4月、ベイルート/AFP via Getty Images
ビタル裁判官の調査では、複数の政治家による「犯罪的な怠慢」が取り上げられていた。国営メディアが明らかにした調査リストによれば、同裁判官はヒズボラの高位者の取り調べを模索していた訳ではなかったものの、同組織は調査を最も声高に反対する勢力の一つとなっていた。