気候変動の個人的な影響に懸念増大、日本だけ大幅減少 先進国意識調査

米国を襲ったハリケーン「アイダ」で損壊した家屋と佇む住民/Brandon Bell/Getty Images

2021.09.15 Wed posted at 17:50 JST

(CNN) 調査機関のピュー・リサーチ・センターは14日、気候危機に対する懸念や地球温暖化対策について先進17カ国・地域で実施した意識調査の結果を発表した。

調査は17カ国・地域の1万8000人以上を対象に実施。国際的な取り組みによって気候変動に対して効果的な対応ができるかどうかについては、52%が多国間での対応が成功するとは思えないと回答したのに対し、46%は国家間の協力によって対応できるとする楽観的な見通しを示した。

気候変動の影響に関する認識が高まっていることも、今回調査で浮き彫りになった。72%は自分が生きている間に、気候危機によって自分が何らかの被害に遭うことを懸念すると回答。さらに、この危機に対応するためには個人的な犠牲を伴うことも、行動を変えることもいとわないという回答は80%に上った。

調査は米国で今年2月に、カナダや欧州、オーストラリア、ニュージーランド、日本、シンガポール、韓国、台湾などの16カ国・地域では3月中旬から5月下旬にかけて実施された。

調査が行われたのは、北半球をこの夏に襲った猛烈な熱波や大規模な山火事、ハリケーン、鉄砲水などが発生する前だった。

豪雨被害の中、ボートで住民を救助する=佐賀県武雄市、2021年8月15日撮影

気候危機の個人的な影響については、ドイツ、英国、オーストラリア、韓国で、「非常に懸念している」という回答が2015年の調査に比べて大幅に増えた。

「ある程度」または「非常に」懸念しているという回答は、韓国が88%と最も多く、次いでギリシャ(87%)、スペイン(81%)、イタリア(80%)、フランス(77%)、ドイツ(75%)の順だった。

一方、スウェーデンは44%、米国は60%にとどまった。米国では2015年調査と比べて気候危機に対する認識に大きな変化は見られなかった。

対照的に、日本は唯一、気候変動について「非常に懸念している」という回答が8ポイントの大幅減となった。日本では今年、桜が観測史上最も早く開花し、ここ数年で洪水や猛暑による死者が相次いでいる。専門家はそうした現象について、温暖化が原因だと指摘している。

全般的には若い世代の方が高齢の世代よりも、温暖化が与える個人的な影響についての懸念が強い傾向があった。特に世代間ギャップが大きかったスウェーデンは、18~29歳の65%が、気候変動が自分たちに与える影響を少なくとも「ある程度」懸念していると回答。この割合は65歳以上の層に比べて40ポイント高かった。

記録的な高温に見舞われた欧州南部では大規模な山火事が猛威を振るった

米国、カナダ、フランス、ニュージーランド、オーストラリアも急激な地球温暖化に対する認識の世代間ギャップが大きかった。一方、ギリシャと韓国では、65歳以上の層の方が若い世代よりも強い懸念を示した。

気候変動の影響については女性の方が男性よりも個人的な影響に対する懸念が大きい傾向があった。例えばドイツで懸念があると答えた女性は82%、男性は69%だった。

化石燃料に大きく依存する米国の気候危機対策については批判的な見方が強かった。米国が「ある程度よくやっている」という回答は中間値で33%、「非常によくやっている」はわずか3%だった。

中国の気候変動対策については78%が「非常に悪い」と回答した。この調査の約1カ月後、河南省で豪雨による洪水のために数百人が死亡している。

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