選手の不安が現実に タリバンが女性のスポーツ禁止、代表チーム相次ぎ出国

見回りを行うタリバンの戦闘員ら=2日、アフガニスタン・カブール/AAMIR QURESHI/AFP/Getty Images

2021.09.09 Thu posted at 12:34 JST

(CNN) イスラム主義勢力タリバン政権下のアフガニスタンから避難した41人が6日、タジキスタン経由でアラブ首長国連邦(UAE)に到着した。この中には、自転車の女子代表チームの選手25人も含まれる。

選手たちはUAEで手続きを済ませた後、カナダに渡航して新しい生活を始める。

女子選手の1人は匿名でCNNの取材に応じ、タリバンが政権を握ったアフガニスタンで女性がスポーツをすることに恐怖を感じると告白。「私がアフガニスタンを離れることにしたのは、アスリートである自分の身の安全が確保できないから。私はアフガニスタンでスポーツをしていたけれど、今、それが安全ではなくなった。私は自分の国を離れるしかなかった」

アフガニスタンからは先月、女子サッカー代表チームも避難していた。

女子代表チームのアシスタントコーチだったヘイリー・カーターさんによると、さまざまな組織が連携して、アフガニスタンの選手や関係者、家族など86人を安全に避難させたという。

カーターさんは、女子サッカー代表チームの主将だったハリダ・ポパルさんと緊密に連携していた。ポパルさんも先月、アフガンから出国できなくなった女子選手の窮状を伝えていた。

クリケットの試合が行われる中、警戒にあたるタリバンの戦闘員=3日、アフガニスタンのカブール国際クリケットスタジアム

CNNの取材に応じた女子自転車選手は、「かつて私たちは練習して、試合をして、男子と競ったこともあった。……私たちは幸せだった」と振り返る。

「しかし今はひどく落胆している。女子が許されない状況を見るのは本当につらい」

「女子自転車選手として、アスリートとして、私はアフガニスタンで人権のため、特に女子の権利を守るためにスポーツをしていた」

「私は自分がとどまることのできなくなった故国を後にする。私は自分のスポーツと教育を続けたい。女子の才能や、女子にもやりたいことをやる権利があることを証明したい」

「教育を受け、自分が望むスポーツをして、自分のあるべき人生を送ることが認められなければならない」

この選手の不安は現実になった。タリバンは、女性がクリケットなどのスポーツをすることを禁止すると発表した。

タリバン文化委員会のアフマダラ・ワジク副委員長はオーストラリアのSBSニュースに対し、クリケットなどのスポーツは、女性を「露呈」させることになるので認められないと述べ、「クリケットでは、顔と身体が覆われない状況に直面する可能性がある。イスラムは女性がそのように見られることを認めていない」とした。

さらに、「今はメディアの時代だ。写真や動画が撮影され、みんながそれを見る。イスラムとイスラム首長国は、女性が露呈されるクリケットなどのスポーツをすることを認めない」と強調している。

国際クリケット評議会は、アフガニスタンを含む加盟国12に対し、女子代表チームをもつことを義務付けている。

2020年11月、アフガニスタンクリケット委員会は、女子クリケット選手25人と契約したと発表していた。

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