バイデン氏、人工妊娠中絶の権利保護誓う テキサス州の州法施行受け

テキサス州での動きを受け、バイデン氏が中絶の権利保護に向けた方法を模索すると明言/Brendan Smialowski/AFP/Getty Images

2021.09.03 Fri posted at 18:30 JST

(CNN) 米テキサス州で人工妊娠中絶の大半を禁止する州法が施行されたことを受け、バイデン大統領は1日と2日の両日に声明を出し、女性の中絶の権利保護に向けた方法を模索すると誓った。

バイデン氏は大統領の任期中「妊娠中絶」の言葉の使用を避けてきたが、両日ともその言葉に言及した。これまで活動家からは、バイデン氏の言及のなさについて、中西部から南部の諸州で中絶の権利が脅かされる中、政権の優先事項に入っていないことを反映するものだといら立ちの声が上がっていた。

連邦最高裁は1日夜、テキサス州の人工妊娠中絶施設の運営者が求めていた州法の差し止めを認めなかった。このため、同法は有効なままとなっている。同州の中絶施設は、潜在的な法的リスクが不明なことから、中絶希望者の受け入れをしない状況となっている。

バイデン氏は2日の声明で、テキサス州の州法は「違憲な混乱」を引き起こしかねない「奇妙なスキーム」だと指摘した。州法では、私人が中絶を求める妊娠者を支援したいかなる者に対しても、民事訴訟を提起できると規定している。

バイデン氏は「全く見ず知らずの人が、女性が直面する最も私的で個人的な健康上の決定に介入できるように力を与えられている」と述べた。

バイデン氏は政府全体でこの州法への対応に取り組むと述べ、保健福祉省や司法省に「テキサス州の女性が安全で合法な中絶を受けられるように連邦政府が何をできるか」の検討を進めるように指示したと語った。ホワイトハウスが取り組みを主導するという。

厳格な中絶禁止法が発効されたテキサス州の州議会議事堂

州法は妊娠6週以降の中絶を禁止している。

取り組みを誓うバイデン氏だが、その方策は見えない。ホワイトハウスも具体策について曖昧(あいまい)な説明をしている。

サキ報道官は1日に記者団からの質問に、バイデン氏は議会に対し、女性に中絶の権利を認めた「ロー対ウェード裁判」の法制化を求めると答えた。

だが法制化の見込みは低い。実現するには上院で共和党の議事妨害(フィリバスター)を避けるために60人以上の賛成票がいる。さらに下院でも民主党の優位はわずかな状況で、通過できるかは不透明だ。

バイデン氏は上院議員時代、中絶についてより穏健な立場を取り、連邦政府による中絶への資金支出を禁じる措置の支持者だった。しかし2019年、大統領選の指名候補争いの中で立場を変え、共和党率いる州が厳格な中絶の新法を施行する中、連邦政府の中絶への資金支出を認める立場へと変化した。

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