買い物帰りの黒人男性が取り押さえられ死亡、警官3人と救急隊員2人を起訴 米

亡くなったイライジャ・マクレーンさん/Twitter

2021.09.02 Thu posted at 11:14 JST

(CNN) 米コロラド州で2019年8月、黒人男性イライジャ・マクレーンさん(当時23)が買い物から帰宅途中で警官に呼び止められて首を締め付けられ、鎮静剤を注射されて死亡した事件で、大陪審が事件にかかわった警官3人と救急隊員2人を過失致死などの罪で起訴した。同州のフィル・ワイザー司法長官が1日に発表した。

起訴されたのは、同州オーロラ警察の警官ランディ・ローディマ、ネイサン・ウッドヤード両被告と元警官のジェイソン・ローゼンブラット被告、オーロラ消防局救急医療隊員のジェレミー・クーパー、ピーター・シシュニック両被告。それぞれ過失致死や暴行などの罪に問われている。

今回の大陪審の判断は、検察の当初の判断とは対照的だった。19年、アダムズ郡地区検察のデイブ・ヤング検察官は、警官らがマクレーンさんを死亡させたことを裏付ける証拠も、不当な実力を行使したことを裏付ける証拠も不十分だとして立件を見送った。

しかし昨年6月、黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に暴行されて死亡した事件や、黒人女性のブレオナ・テイラーさんが警官に射殺された事件をめぐって「ブラック・ライブズ・マター」運動が広がる中で、マクレーンさんの事件が改めて脚光を浴びた。

マクレーンさんの死に対しデモを行う人々=2020年6月27日、米コロラド州オーロラ警察署の外

抗議デモやオンライン署名嘆願に突き動かされてジャレド・ポリス州知事は昨年、事件の再審査を行うと表明。ワイザー司法長官が特別検察官に任命され、今年1月に大陪審による捜査が始まった。

マクレーンさんの母シェニーン・マクレーンさんはCNNの電話取材に対し、起訴の報に胸がいっぱいになって涙を流したと語った。父のラウェイン・モズリーさんは弁護士を通じ、「どんなことをしても息子は戻ってこない。それでも息子を殺した者たちがようやく罪に問われることに感謝する」との談話を発表した。

市の規定に従って、重罪で起訴された警官や消防士は直ちに無給の休職処分となる。

事件が起きたのは19年8月24日。起訴状によると、目出し帽をかぶった人物がいるとの通報を受けて出動した警官が、コンビニで買い物をして徒歩で帰宅途中のマクレーンさんを発見した。

警官がマクレーンさんを取り押さえようとしてもみ合いになり、警官は2度にわたってマクレーンさんの首に後ろから腕を回して締め付け、脳への血流をさえぎる行為を行ったとされる。マクレーンさんは一時的に意識を失ったが、意識が戻ると抵抗を続けた。

記者会見で発言するワイザー司法長官=1日、米コロラド州デンバー

警官はマクレーンさんに手錠をはめ、息ができないとマクレーンさんが繰り返し訴えたにもかかわらず、地面に押さえつけた。

現場に到着した救急医療隊員は、マクレーンさんの血圧や心拍などをチェックすることも、話しかけたり体に触れたりすることもなく、マクレーンさんが錯乱状態にあると判断。マクレーンさんの体重を200ポンド(約90キロ)と推定して鎮静剤のケタミンを注射した。実際には体重は143ポンド(約65キロ)だった。

マクレーンさんは担架に乗せられた時点で意識がないように見え、ぐったりしたまま動かなくなっていて、鼻と口から吐しゃ物があふれていた。

救急隊員はマクレーンさんの脈や呼吸が確認できなかったことから蘇生措置を行ったが、意識が戻ることはなかった。マクレーンさんは8月27日に脳死を宣告され、生命維持装置をはずされて臓器提供者になった。

大陪審は、マクレーンさんが警官に押さえつけられ、救急隊員にケタミンを注射されたことが原因で死亡したのは明らかだと判断した。

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