ハリケーンで停電100万戸以上、40度の猛暑でもエアコンなし 米南部

壊れた建物の中から工具を回収する住民=8月31日、米ルイジアナ州ホーマ/Steve Helber/AP

2021.09.01 Wed posted at 14:45 JST

(CNN) 猛烈なハリケーン「アイダ」が上陸した米ルイジアナ州など南部の州で100万戸以上が停電に見舞われ、猛暑が追い打ちをかけている。所によっては電力の復旧までに1カ月かかる見通しだ。

アイダは8月29日、極めて危険な「カテゴリー4」の勢力でルイジアナ州に上陸した。これまでに5人が死亡、数百人が救助されているが、大きな被害が出ている地域ではまだ捜索救助隊が到達でない場所もあり、洪水やがれきに閉じ込められている住民の数は分かっていない。

同州ニューオーリンズのラトヤ・カントレル市長は8月31日、ある程度の送電が間もなく開始されると説明、9月1日夜にはある程度の電力や照明が復旧するとの見通しを示した。

米国立気象局(NWS)は31日午前10時~午後5時の間、ルイジアナ州南部とミシシッピ州に猛暑注意報を出した。CNN気象専門家によると、対象となる住民は200万人以上。被災地の住民は、エアコンがない状態で40度を超す熱波にさらされることになる。

自治体の多くは避難した住民に対し、送電線や道路の寸断、救助活動の妨げとなる可能性があることなどを理由に、まだ自宅へ戻らないよう呼びかけている。

ニューオーリンズ近郊で8人の子どもや母親と暮らすヨランダ・ティーゲさんは、自宅の屋根や天井がアイダによって破損した。息子の1人は熱中症の症状があるという。

ティーゲさんはCNNの取材に「これからどうすればいいのか分からない。きっとひどいことになるかもしれない」と話し、食料や飲料が底をつく不安もあると語った。

近隣の住民に食料が配られている場所には大行列ができていた。

ルイジアナ州ではガソリン供給や通信網、飲料水や病院にも影響が出ている。

建物に倒れた木を取り除く作業員=8月31日、米ルイジアナ州ホーマ

停電情報サイトによると、停電に見舞われている住宅や事業所はルイジアナ州で100万戸以上、ミシシッピ州で4万2000戸、ジョージア州で8800戸に上る。

電力会社のエンタジーは30日、ニューオーリンズなどに電力を供給している高圧線8本がハリケーンで損傷したと説明。電力の復旧までには3週間以上かかるとの見通しを示した。8万5000戸は31日朝までに復旧したとしている。

地元議員によると、同州ジェファソン郡では所によって、少なくとも3~4週間停電が続く見通し。物資の供給は限られ、食品店は軒並み休業、ガソリンは2時間待ちの行列ができている。セントチャールズ郡はフェイスブックへの投稿で、停電が1カ月続く可能性が高いとの見通しを示した。

ルイジアナ州知事によると、州内では4病院で30日に患者らが避難した。メキシコ湾沿岸部の病院の多くはハリケーンで被災して、新型コロナウイルスへの対応にも追われる中で、患者の治療継続に苦慮している。

ミシシッピ州では豪雨で幹線道路の一部が押し流されて2人が死亡、10人が負傷した。ルイジアナ州では住宅の上に樹木が倒れて1人が死亡したほか、冠水した道路を車で通り抜けようとした男性など2人が水死した。

ルイジアナ州兵は31日午後、同州南東部でこれまでに359人とペット55匹を救助したとツイートした。

同州ラフォーシェ郡に出されていた避難命令は31日に解除された。しかし電力が復旧する見通しは立たず、夜間の外出は禁止され、きれいな水はなく、携帯電話などの通信網もほぼ全面的にダウンしている。

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