タリバン、アフガン人の出国認めず 米軍撤退期限の延長も拒否

タリバンがアフガン人のこれ以上の出国を認めないとする警告を発した/Taylor Crul/US Air Force/Getty Images

2021.08.25 Wed posted at 09:32 JST

(CNN) アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンは24日、「アフガン人がこれ以上退避するのを認めない」と述べ、米国に来週の軍撤退期限を守るように警告した。首都カブールの空港では西欧諸国による自国民や協力者のアフガン人の退避作戦がペースを上げている。

タリバンのムジャヒド報道官は記者会見で、外国人が空港に向かうことは認めるものの、空港にいるアフガン人の群衆は自宅に戻るべきであり、新たな統治者から報復を受けることはないと述べた。

「空港へ通じる道は封鎖され、アフガン人は空港への道を通れない」とも述べ、医師や学者などは出国せずに専門分野の仕事をするべきだと語った。

ホワイトハウスのサキ報道官はこの発言について、米国が出国させようと急ぐアフガン人に影響を与えるべきものではないとし、「我々がタリバンにも伝えている期待は、彼らが空港にたどり着けるということだ」と述べた。

出国者の多くは教育を受けた人々で、特に女性が多い。以前のタリバン統治下では、女性は就労が禁止され、学校や大学への通学も認められなかった。

タリバン側の主張とは裏腹に、現地では人権侵害に関する報告が寄せられているという

ムジャヒド報道官は、外国の大使館や援助団体は引き続き活動できると再度保証した。だが専門家からは、人権侵害の報告や各国の撤退終了後の状況悪化への懸念から、そうした約束に懐疑的な見方が示されている。

24日にはタリバンが政権を奪取してから初となる先進国7カ国(G7)首脳会議がオンライン形式で開かれた。ジョンソン英首相は、各国首脳はタリバンに対し8月31日以降も出国希望者全員の安全な通行を保証するように求め、それがG7の「第一条件」になると述べた。

英国やフランスなどが撤退期限の延長を求める中、バイデン大統領は同日、8月31日までに退避作戦や軍の撤退が完了するとの見通しを示した。

バチェレ国連人権高等弁務官はスイス・ジュネーブの国連人権理事会に対し、タリバンの下で市民の処刑や女性の権利の制限に関する「悲惨な信頼できる報告」があると伝えた。市民や治安部隊の隊員の処刑、少女が学校に通う権利の制限、子どもの徴兵、平和的抗議運動の抑圧などが報告されているという。

こうした暴力の報告は、タリバンが首都奪取後に海外メディアに示した保証とは著しく反する内容となる。

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