カブール空港に2万人殺到、相次ぐ衝突で死者 必死の大脱出続く

必死の思いで国外に脱出しようとカブール空港に集まったアフガニスタン人ら/Shekib Rahmani/AP

2021.08.23 Mon posted at 12:30 JST

(CNN) アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンが首都カブールを制圧して1週間。カブールの空港や周辺には必死の思いで国外に脱出しようと2万人以上が詰めかけ、相次ぐ衝突で民間人がさらに7人死亡するなど、一層混乱が深まっている。

空港に集まった人の中には、海外からの労働者やアフガン人の通訳、タリバンの支配下で危険にさらされている女性などが含まれる。

状況に詳しい関係者がCNNに語ったところによると、空港で出発便を待つ人は22日午前までに1万8500人に膨れ上がり、ゲートではさらに2000人が中に入れるのを待っている。

混乱の一因は、特別移民ビザ(SIV)の申請者に対し、氏名や番号のない電子ビザを発給する措置が決まったことにある。関係者によれば、このビザのスクリーンショットがアフガン人の間でコピーされ、空港に入る資格のない数千人の人々に送られているという。

状況はこの日1日を通して悪化の一途をたどり、空港の入場ゲートはほとんどが閉鎖されて、一家が混乱の中で離れ離れになって別々の国に送られる事態も発生した。

「母親と父親、子どもたちが全員違う国にたどり着いてしまったケースも複数ある」と関係者は話している。

必死の思いで国外に脱出しようとカブール空港に集まったアフガニスタン人ら

CNNは22日、空港で出発待ちをしている米軍輸送機C17数機を目撃した。付近には大勢の兵士がいて、乗客を搭乗させるために夜を徹して対応に当たる見通し。

空港の周辺には何千人もの人が集まり続けている。家族連れが空港フェンスをよじ登ろうとする中で、有刺鉄線越しに差し出された赤ちゃんを米海兵隊員が持ち上げる映像は、現場の絶望感を映し出していた。

米国防総省のジョン・カービー報道官は20日の記者会見でこの赤ちゃんについて、具合が悪かったため空港内にあるノルウェーの病院で手当てを受け、両親の元に戻ったと語った。

カブールの空港内では、人々が折り重なって倒れたり銃で撃たれたりして、20人近くが死亡したと伝えられている。

英国防省の報道官によると、21日には空港付近で衝突が相次ぎ、アフガン市民7人が死亡した。衝突は、空港前やバロンホテル前で発生したという。

これに先立ちロイター通信は、北大西洋条約機構(NATO)やタリバン関係者の話として、タリバンが15日にカブールを制圧して以来、空港内や周辺で12人が死亡したと伝えていた。

国外に脱出しようとカブール空港の外に集まる人たち=21日、カブール

同空港がアフガニスタンからの数少ない出国ルートの1つとなる中で、米国のジョー・バイデン大統領は20日、「史上最大級かつ極めて困難な空輸」を行っていると述べ、同空港に米兵数千人を配備しているにもかかわらず、危険な状況が続いていることを確認した。

CNNが21日にまとめたデータによると、タリバンがカブールに向けて進攻を開始して以来、アフガニスタンから避難した人は、アフガン人や外国籍の人を含めて少なくとも3万8000人に上る。

カタール便で出国できた男性ジャーナリストはCNNの取材に対し、うれしいのか悲しいのか分からないと打ち明けた。この男性はかつてのタリバン政権の時にも同国を脱出したことがあった。今回、再び家族や友人を残して出国することになり、次はいつ帰国できるのか、あるいは帰国がかなうのかどうかも分からなくなった。

米統合参謀部のハンク・テイラー地域作戦担当副部長(大将)は21日、米国はカブールが陥落する前日の14日以来、1万7000人を避難させたと発表した。うち2500人は米国人だった。

英国防省は22日のツイッターで、13日以来、4000人近くを避難させたと発表。カナダ、イタリア、ドイツ、フランス、トルコ、オーストラリアも人々を避難させている。

CNN記者によるカブール空港からの現地リポート

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