習近平氏、富の再配分に意欲 富裕層への圧力強化か

中国の習近平(シーチンピン)国家主席が富の再配分を新たな公約に掲げた/Li Xueren/Xinhua/Getty Images

2021.08.19 Thu posted at 14:45 JST

香港(CNN Business) 中国の習近平(シーチンピン)国家主席はこのほど、国内の富を再配分するとの思い切った新公約を発表した。同国で最も富裕な市民や企業に一段の圧力がかかるとみられる。

中国共産党指導部との会合で、17日に述べた。政府は富を再配分するシステムを構築し、「社会的公平性」の利益としなくてはならないとの認識を示した。国営新華社通信が演説の要約を引用して伝えた。

「必要な」施策として、「過度に高い収入に対する合理的な規制を行い、高収入の人々や企業には社会に還元する分を増やすよう促す」とした。

新華社の記事には習氏がどのように目標を達成しようとしているのかについて詳細な言及はないが、政府が徴税などを通じた収入と富の再配分を検討する可能性があると報じた。

習氏はさらに、中国国民が「繁栄を共有する」必要があると強調。それは共産党が権力を維持するうえで極めて重要であり、中国を「完全に発展した裕福かつ強力な」国家へと2049年までに変えられるかどうかをも左右するとした。同年は中華人民共和国の成立から100年目に当たる。

習氏は共産党について、1970年代の経済改革を受け、「一部の人々、一部の地域が先に豊かになるのを許した」と認めた。しかし自身が国家主席となった2012年以降、中央政府は「全人民に共通の繁栄を実現すること」をより重要視していると指摘した。

当局による規制強化で影響を受けるとされる中国教育サービス大手の新東方教育科技

富の再配分に注力する習氏の意向は、自身が率いる政府のより広範な経済目標とも結び付く。中国では過去数カ月間、ハイテクや金融、教育といった業界に対し、前例のない規模の締め付けが行われている。財務リスクの低減と経済の保護、汚職の撲滅がその名目だ。

政府はこうした措置を通じて安全保障や国民の利益を守っているとも主張する。規制当局は民間部門が社会経済上の問題を引き起こしていると非難。そうした問題で社会が不安定化し、共産党の支配にも影響を及ぼしかねないとの見解を示す。

ただ直近の指標からは、中国経済の弱体化の兆候がうかがえる。16日に公表されたデータによると経済の回復ペースは鈍り、若年層の失業率も年間で最悪となる水準にまで上昇した。

エコノミストらはこうした失速について、いくつもの要因があると指摘。具体的には新型コロナウイルスのデルタ株の蔓延(まんえん)や自然災害、債務リスクの高まりに加え、上記の規制強化を受けた投資家心理の冷え込みも挙げた。

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