バイデン政権内で非難の応酬、アフガン退避時の混乱めぐり

アフガニスタンからの退避をめぐる混乱についてバイデン政権で非難の応酬が起きている/BRENDAN SMIALOWSKI/AFP/Getty Images

2021.08.18 Wed posted at 20:00 JST

ワシントン(CNN) アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバーンによる政権奪取時の混乱を受け、バイデン米政権内で非難の応酬が起きている。米国人や米軍に協力したアフガン人をもっと早く退避させず、急ぎの危険な避難になった理由を問う声が高まっている。

複数の軍当局者によると、軍はここ数週間、より迅速に外交関係者の避難に動くよう国務省に要請していた。国務省当局者は、もっと時間的な猶予があることを示す情報機関の分析を基に対応したとしているが、情報当局者の側は、タリバーンによる急速な政権奪取の可能性については以前から報告していたと主張する。

事情に詳しい情報筋によると、タリバーンがドーハで和平交渉を進める様子を見せ、米政権がこうした協議に引き続き自信を示す中でも、情報機関は1カ月以内にまとめた分析で、タリバーンは完全な軍事的勝利を目指していると判断していたという。

バイデン大統領は16日、タリバーンの首都掌握後初の会見を行い、今回の事態の責任はアフガン治安部隊の戦闘意欲の乏しさや、歴代政権の決定にあると主張。現政権下で進行中の混乱には直接言及しなかった。タリバーンによる政権奪取が想定より早く起きたことは認めつつも、米軍撤収の判断を堅持する姿勢を示した。

当局者の間では、バイデン氏は軍や情報機関の一部の顧問から質の悪い情報を受け取っていたと指摘する声もある。

今月15日、カブールの米大使館上空を飛行する米軍の軍用ヘリ

当局者の1人は、米軍トップのミリー統合参謀本部議長が3週間前、アフガン軍には戦闘で国を守る能力があり、タリバーンの政権奪取が決まったわけではないと示唆したことに言及。「完全なでたらめだ」と指摘した。

一方の軍当局者は、軍は最悪の事態に備え、何週間も前から大使館職員の撤収開始を国務省に促していたと説明する。国防総省の当局者は、米政府やアフガン政府に対するいら立ちを強い言葉で表現した。

軍は国務省に対し、退避せず残っている職員の数が多いほど、土壇場での避難はより難しくなると警告していたという。

在カブール大使館はここ数カ月にわたり少しずつ人員を縮小していたものの、人員の大部分を避難させる試みが始まったのは、タリバーンが首都カブールに迫った先週後半のことだった。避難時には1975年の「サイゴン陥落」を想起させる光景が広がったが、これはまさに政権が再現を避けると約束していた光景だった。

国防総省のカービー報道官は16日、同省は「タリバーンが全土で大攻勢をかける可能性」に備え万全の準備をしていたと述べたものの、大統領が報告を受けていたかどうかは明言を控えた。「我々が予想できず、予想もしていなかったことの一つは、アフガン軍が全く戦わずに投降する場面があったことだ」としている。

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