カブール(CNN) イスラム主義勢力タリバーンが制圧したアフガニスタンの首都カブール。街の様子は一見、ほとんど何も変わっていないように見える。混雑する道路を人々が行き交い、商店には色鮮やかな商品が並び、警官が交通整理をしている。
だが1つ大きな違いがある。女性の姿はほぼ皆無だった。タリバーンが15日に首都を制圧して以来、女性はほとんど外出しなくなった。
タリバーンは自分たちの統治下でも女性の権利は守ると繰り返している。それでもアフガン女性の多くがタリバーン政権下で暮らすことに恐怖を感じているのは明らかだ。
街に出かける女性は数日前に比べて激減した。外出する勇気のある女性も、顔をニカブと呼ばれるベールで覆い、服装は以前に比べて保守的な傾向が強まった。
教育を受け、過去10年の間にキャリアを積んできた女性の多くは、タリバーンに狙われることを恐れて必死の思いで脱出の道を模索している。
「私の未来や私の娘たちのことを思い、もし私が殺されたらこの子たちはどうなるのかと考える」。ある女性はCNNにそう打ち明けた。
この女性は多数の国際非政府組織(NGO)で働いた経験があり、ここ数日はそうした団体に必死に助けを求めたが、どこからも返事はないという。
「10年以上も国際(団体)で働いた経験があるのに、どこも私を助けてくれなかった」と女性は肩を落とした。
カブール市中心部にある衣料品店ではここ数日で、ブルカが飛ぶように売れているという。
ブルカは頭部からつま先まで全身を覆い、目の部分だけメッシュが入った装束で、タリバーンがアフガニスタンを支配していた1990年代は、女性に対して着用が義務付けられていた。
カブールでは過去20年の間にあまり見かけなくなっていたが、タリバーンによる制圧のニュースが伝わると、販売が急増した。
CNNが取材した衣料品店の店主によれば、おびえた客たち(ほとんどは男性)が自分の妻や娘など一緒に暮らす女性のために、ブルカを買い求めているという。それは、女性が街頭で身を守るためには今後はブルカを着るしかないと感じているからだと店主は説明する。
今のところタリバーンは、普段通りの日常生活が続くと主張し、政府機関の職員に職場復帰を促している。
タリバーン指導部は、アフガン国民の「財産、名誉、生活」に危険が及ぶことはないと主張。戦闘員に対しては、民家に立ち入ったり車を押収したりしないよう指示しているとした。
しかしそうした言葉だけで市民の不安をぬぐうことはできない。カブールの中心部をパトロールするタリバーンの武装戦闘員は、今のところ、市民の日常生活に厳格なルールを徹底させようとはしていない。しかしその状況がいつ変わってもおかしくないという恐怖が市民を覆っている。
タリバーン支配下のアフガン首都、CNN記者が取材