香港(CNN Business) ソフトバンクグループの孫正義最高経営責任者(CEO)が中国への投資を切り詰めている。同国の民間部門は、規制当局からの厳しい締め付けに直面する状況が続く。
孫氏は10日の業績発表で、新たな規制の影響が明らかになるまでは慎重なやり方で臨む考えを示した。
同社の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が有する大規模な投資ポートフォリオのうち、7月末時点で中国企業の占める割合は23%だった。しかし4月以降行われた投資の中で、中国向けは全体の11%にとどまっている。
孫氏はこうした状況について、しばらく様子を見たいためと説明。記者団の質問に答える形で、中国での投資が厳しい課題に直面していることを認めた。
この数カ月で、中国は民間部門への締め付けを強化しており、影響が大手企業にも及んでいる。当初、規制の主な標的は成長著しいハイテク業界とみられていたが、最近では私教育など他の業界にまで拡大している。
ソフトバンクはハイテク分野への投資が世界最大規模で、ネット通販大手のアリババや配車サービス大手の滴滴出行(ディディチューシン)、動画投稿アプリ「ティックトック」の中国親会社、北京字節跳動科技(バイトダンス)など、中国トップクラスの企業数社の株を保有する。
このうち滴滴は米国での上場を果たしたものの、中国ネット規制当局による調査や新規ユーザー登録の停止命令を受けて株価が下落した。
孫氏は対中投資に慎重姿勢をとる期間について、具体的なスケジュールを明らかにしなかった。
ソフトバンクは10日、4~6月期の純利益が前年同期比で40%近く落ち込み7615億円だったとした。減益の主な要因は、米スプリントの株を売却したことによる一時益の反動だという。
孫氏は長期的には中国企業の潜在力を信じる考えを表明。中国政府については、反対でも賛成でもないと付け加えた。