(CNN) 東京オリンピック(五輪)でドーピング論争が再燃している。30日に行われた競泳男子200メートル背泳ぎの決勝で、米国選手がロシア・オリンピック委員会(ROC)の選手の金メダルについて「100%クリーン」か疑問を呈したのに対し、ROCは反論した。
前回大会で100メートルと200メートルの背泳ぎを制した米国のライアン・マーフィーは今回、100メートルで銅メダル、200メートルで銀メダルに終わった。両種目を制したのはROCのエフゲニー・リロフだった。
マーフィーは200メートル決勝の直後、自身のレースに関してドーピングへの懸念はないかと記者から問われ、「15個の考えがある。そのうち13個は口にしたら問題になるだろう」と述べた。
「これが現実だ。私は気にしないようにしている。自分がおそらくクリーンでないレースで泳いでいると1年中考えるのは、精神的に大きな負担になる。だがそれが現実だ」
国際検査機関(ITA)は30日、東京大会のドーピング対策の一環で選手2000人あまりから3000を超える検体を収集したと説明。これまでのところ「違反が疑われる結果」は出ていないと明らかにした。
ロシアの選手は今大会、ドーピングをめぐる制裁の継続で「ロシア」の国名では参加できず、公式にはROCの選手とされている。
マーフィーはその後、リロフや銅メダルを獲得した英国のルーク・グリーンバンクと並んで記者会見に臨み、自身の発言は水泳界のドーピングについて広く言及したものだったと説明。今回のレースはクリーンだったと思うかとの質問には、「いら立たしいのは100%の確信をもってその質問に答えられない点だと思う」「過去のことがあるので、100%クリーンかは分からない」と答えた。
また、「明確にしておかなければならないのは、私はここで何か特定の主張をしたいわけではない。ルークとエフゲニーにはおめでとうと言いたい。彼らはすばらしい泳ぎをした。2人とも非常に才能のあるスイマーだ」とも述べた。
グリーンバンクもマーフィーに共感して「自分が闘っている相手がクリーンかどうか分からないという明らかに難しい状況があるが、それはスポーツの一部のようなものだと思っている。いら立ちはあるが、レースと自分のコントロールできるものに集中しなければならない」と述べた。
マーフィーの回答に対するコメントを求められたリロフは、「私は常に公正なスポーツ、公正な競争を支持してきた。だから常に薬物検査を受けているし、ADAMS(世界反ドーピング機関のデータベース)のフォーム入力も欠かしていない」と返答。
さらに「私はこの競技に全人生をささげてきたので、何かを摂取するようなことがあれば自分を許せないだろう。だから、これに対してどう反応していいのかわからない。ライアンは自分を批判しているわけではないのだから、これについては何も答えたくない」と続けた。
一方、ROCはツイッター上でマーフィーの主張に強い言葉で反論。「我々の勝利がどれほど(誰かの)気力を奪うものだったか。そうだ、我々は五輪に参加している。人々がそれを好もうと好まざるとだ」とけん制した。
米水泳連盟にもコメントを求めたが、まだ回答はない。