バミューダ、五輪史上「最小」の金メダル獲得地域に ダフィー選手が感激の勝利

トライアスロン女子で優勝してバミューダに金メダルをもたらしたフロラ・ダフィー選手/Stephen McCarthy/Sportsfile/Getty Images

2021.07.29 Thu posted at 07:09 JST

(CNN) 東京オリンピック(五輪)のメダル獲得表を一瞥(いちべつ)すれば、中国や米国、日本といったおなじみの強豪国が並んでいることが分かるだろう。

しかし27日の朝、大西洋に浮かぶ小さな島がメダル獲得国・地域のリストに加わった。英領バミューダ諸島が並み居る大国を抑え、五輪で金メダルを獲得した最小の地域になったのだ。

フロラ・ダフィー選手(33)はトライアスロン女子で圧勝し、人口約6万3000人のバミューダに歴史的な金メダルをもたらした。これに対し、米国の人口は3億2800万人に上る。

これが4大会目の五輪となるダフィー選手は、偉業を成し遂げたことを実感して感極まると、地面に倒れ込み、両手で顔を覆った。

ダフィー選手はCNNの取材に、「バミューダの若者に勇気を与えたい一心だ。小国出身だからといって、世界の舞台で大きなことを達成できない訳ではないと伝えたい」と語る。

ダフィー選手は小さなバミューダの期待を背負っているのを感じていた。「東京入りして、メダル獲得への期待の大きさをひしひしと感じた。私たちの場合、メダル獲得のチャンスのある選手が毎大会に出場するわけではないから」

ダフィー選手が期待を裏切ることはなかった。英国のジョージア・テーラーブラウン、米国のケーティ・ザファーズ両選手に1分以上の差を付けて1位に輝いた。

優勝時にはさまざまな感情が沸き上がってきたと振り返った

ダフィー選手によると、この2人は「いつも一緒にコースで競っている」友人だという。2人と並んで表彰台に立つのは「超特別」な経験だったといい、「夢がかなったよう」と感慨を語っている。

ダフィー選手はこれまで選手生命に関わるけがや貧血、うつを経験しており、金メダル獲得は暗いトンネルの先に光が差した形となった。東京五輪に向けた準備の期間にも、脚のけがで1年間の戦線離脱を余儀なくされた。

2008年の北京五輪では自転車が壊れて完走できなかったほか、一時トライアスロンを離れていた時期もある。その後、米コロラド大学ボルダー校で社会学の学位を取得した。

「残り800メートルほどになったところで、少しずつ(勝利の)実感がわいてきた」「ゴール地点の自分の写真を見たが、あの時は本当にさまざまな感情が湧き上がっていた。涙、涙だった」(ダフィー選手)

ダフィー選手がバミューダに金メダルもたらすのは初めてではなく、18年にオーストラリアで行われた英連邦競技大会でも勝利を収めている。同年には英チャールズ皇太子によって大英帝国勲章を授与された。

バミューダがお祭り騒ぎになるのは間違いないだろう。バミューダが五輪でメダルを獲得するのは、ボクシングのクラレンス・ヒル選手が1976年に銅メダルを獲得して以来、わずか2度目のことだ。

トライアスロン女子、金メダリストに聞く

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