子ども1700万人、定期予防接種受けられず 新型コロナ流行で

米ファイザー製の新型コロナワクチンを接種する12歳の子ども=5月14日、米カリフォルニア州ロサンゼルス/Patrick T. Fallon/AFP/Getty Images

2021.07.15 Thu posted at 12:00 JST

(CNN) 新型コロナウイルス感染症の流行により、全世界で少なくとも1700万人の子どもが定期予防接種が受けられなかった可能性があることがわかった。英医学誌ランセットに14日、モデリングを使った研究結果が発表された。

ワクチンを接種していなかったり、ワクチンが不十分だったりする子どもは病気の流行にたいして脆弱(ぜいじゃく)になり、世界の医療当局者が懸念している。

米ワシントン大学や世界保健機関(WHO)、汎米保健機構(PAHO)の研究者は「定期予防接種サービスは2020年に厳しい課題に直面した。新型コロナウイルスの流行により、近年で最も広範囲で大規模な世界的な混乱が引き起こされた」と述べた。

研究者は1980年から2019年にかけての定期予防接種のデータを分析し、新型コロナウイルスの流行が昨年発生しなかった場合、どのくらい多くの予防接種が行われたかを試算。この試算と20年の実際のデータを比較した。今回の研究には、世界の流動性と昨年の定期予防接種の報告も盛り込まれている。

麻疹の1回目の予防接種の資格がある子どものうち、推計2720万人が接種を受けられなかった

研究によれば、20年1~12月には、ジフテリアと百日ぜき、破傷風の3種混合(DPT)ワクチンの3回目の接種を受ける資格があった子どものうち推計3000万人が接種が受けられなかった。麻疹の1回目の予防接種では資格がある子どもの推計2720万人が接種を受けられなかった。今回の試算によれば、新型コロナウイルスの流行がなかった場合とくらべて、DPTのワクチンを受けられなかった子どもは約850万人、麻疹のワクチンを受けられなかった子どもは約890万人増えたという。

研究によれば、DPTのワクチン接種は7.7%、麻疹のワクチン接種は7.9%それぞれ減少した。こうした混乱は高所得の国と低所得の国の両方に影響を与えている。

地域別でみると南アジアが最も大きな減少を見せた。昨年4月、推計でDPTのワクチン接種は58%、麻疹のワクチン接種は43%減少したとみられる。その後は改善がみられ、昨年末までには新型コロナウイルスが流行しなかった場合の水準にまで近づいているという。

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