香港(CNN) 中国東部の山東省聊城市に住む家族が、24年前に2歳で誘拐された息子と涙の再会を果たした。
同市の警察が12日に発表したところによると、26歳になった郭新振(グオシンジェン)さんは11日に家族のもとへ戻った。警察が公開した再会場面の映像では、家族が「見つかった。帰ってきてくれた」と泣きながら新振さんを抱き締めている。
両親の話によると、新振さんは1997年、自宅近くで見知らぬ女性に連れ去られた。当局は血液やDNAのサンプルを採取したが、当時の技術では事件を解決できなかった。それでも捜査は打ち切られることなく続けられた。
父親の郭剛堂(グオガンタン)さんは、バイクで息子を捜す旅に出た。国営新華社通信によれば、ビラを詰めたかばんと新振さんの写真の旗だけを持ち、バイク10台を乗りつぶして50万キロも走り続けた。貯金を使い果たし、多額の借金を抱えてしまった。息子を見つけることはできなかったが、誘拐された子ども100人以上の行方を追い、家族と引き合わせたという。
2015年にはこの実話を基にして、香港の俳優アンディ・ラウ主演の映画「失狐」が公開された。
当局は今年になって新たな手掛かりをつかんだ。公安部が最新の技術を駆使して、隣接する河南省で新振さんを捜し当て、DNA鑑定で確認した。
警察は子どもの人身売買業者とされる男と、元交際相手の女を拘束した。女は当時、新振さんを連れ去って男と合流し、河南省で売り渡した。2人は犯行を認めているという。
新振さんが誰に引き取られ、どんな少年時代を過ごしたかなどは公表されていない。
中国では長年にわたって子どもの誘拐や人身売買が横行し、政府が対策に苦慮している。