(CNN) 米フロリダ州に生息する水生哺乳類のマナティーが、今年の上半期に過去のいかなる記録よりも多く死んでいたことが13日までに分かった。
同州の魚類・野生生物保存委員会(FWC)が今月報告したところによれば、今年1月1日から7月2日までに少なくとも841頭のマナティーが死んだ。これは過去に最多を記録した2013年の830頭を上回る。
数の増え方は極端なものとなっている。わずか1年前、同期間に死んだマナティーは354頭で、今年の半分以下だった。20年通年では637頭が死んだ。
今年マナティーが相次いで死んでいる要因について、FWCは主として飢えやボートとの衝突にあるとしている。
最も多くのマナティーが死んでいるインディアン・リバー・ラグーンはマナティーの冬の生息地として知られているが、現地を管轄する規制当局によると、環境が汚染された影響で海草の60%近くが死滅した。マナティーは海草を主要な食物源とする。
健康なマナティーは体重の10%の量に相当するえさを毎日食べる必要がある。つまり体重454キロのマナティーであれば、1日当たり45.4キロ分の海草を食べなくてはならない。十分な海草が食べられないと栄養失調となり、やがて餓死する。
春になってラグーンとつながる大西洋の水温が上昇すると、マナティーはえさを求めてより広範に活動できるようになり、餓死するケースは減少した。
しかし6月に入ると、船が絡む負傷が主要な死因として餓死に取って代わったと、FWCは指摘する。通常、年間でのマナティーの死因に占めるボートとの衝突の割合は約20~25%程度。
FWCによれば、フロリダ州に生息するマナティーの個体数はおよそ7500頭。ただ米魚類野生生物局やマナティーの保護に取り組む団体は5700~6300頭だとしている。これらの数字に今年死んだ個体は盛り込まれていない。
今回のように多数の個体が死ぬ状況が毎年続くと、絶滅危惧種の水準まで頭数が減る恐れがあると専門家は懸念する。絶滅が危惧された1970年代には、マナティーの個体数はわずか数百頭となっていた。