ポルトープランス(CNN) ハイチのモイーズ大統領暗殺事件で、国家警察のレオン・シャルル長官は11日、主犯格の男を逮捕したと発表した。
逮捕されたのは同国南部マリゴ出身のクリスチャン・エマニュエル・サノン容疑者(63)。シャルル氏は記者会見で、同容疑者が先月、「政治的意図」を持って自家用機で入国したと述べたが、容疑や詳しい動機には言及しなかった。
サノン容疑者は米フロリダ州に拠点を置くベネズエラ系の警備会社を通じ、コロンビア人傭兵(ようへい)26人と米国系の2人を雇ったとされる。このグループは当初、同容疑者の警備を担当していたが、その後職務内容が変化したという。
警察は事件の実行犯について、少なくとも28人の集団だと発表していた。このうち米国籍の2人を含む少なくとも20人を拘束し、3人が死亡。残る5人の行方を追っている。
作戦に関する情報は、拘束されたコロンビア人らが供述した。事件の後、実行犯の1人はまずサノン容疑者に電話をかけたという。
警察はサノン容疑者の自宅を捜索し、弾薬20箱と複数の銃ケース、車両2台、ドミニカのナンバープレート4枚などを押収した。
傭兵の集団がコロンビアからどのように入国したか、同国側の協力者や資金提供者はだれだったのかなどについて、両国が連携しながら捜査を進めているという。メンバーはコロンビア軍の兵士だったとの情報もある。
ハイチの議会は昨年1月から機能を停止し、大統領の後継者を選ぶ法的な手続きも定まっていない。暫定大統領に就くはずの最高裁長官は新型ウイルス感染症で死亡し、現在はジョゼフ首相代行と、モイーズ氏がその後任に指名していた人物の間で主導権争いが起きている。