米女子ハンマー投げ選手、批判に回答 「国が嫌いとは言っていない」

グウェン・ベリー選手(右)が、表彰式での振る舞いをめぐる自身への批判に答えた/Patrick Smith/Getty Images

2021.06.30 Wed posted at 16:30 JST

(CNN) 「活動家のアスリート」を自認する米国の陸上ハンマー投げの女子選手が、国内大会での表彰式の壇上で国歌が流れたことに抗議し、ただ1人国旗の方へ体を向けず立ち尽くして見せた件で、政治家などから批判の声が上がったのを受け、選手本人が「国が嫌いだと言ったわけでは絶対にない」とコメントした。

このグウェン・ベリー選手は26日、オレゴン州ユージーンで開催された大会で3位に入賞したが、表彰式の壇上で米国国歌が流れる間も国旗には向かわず、スタンドを見ていた。その後で、「活動家のアスリート」を意味する文言が書かれたTシャツを頭上に掲げた。

自分が壇上にいる間に国歌が流れたことについて、同選手は「仕組まれたものだ」との見方を示している。3位入賞を果たしたことで、ベリー選手は来月開催される東京五輪への出場権を獲得した。

大会を通じ、国歌は毎夕1回流されていた。スポーツ専門局ESPNによるとベリー選手は、自分たちが壇上に上がる前に国歌を流すと言われていたにもかかわらず、実際はそうではなかったとして不満をあらわにしていた。

ロイター通信によると、全米陸上競技連盟(USATF)の広報担当者は国歌について、毎日事前に決まったスケジュールに従ってかかることになっており、選手らが壇上に上がるのを待って流したわけではないと説明した。

「活動家のアスリート」を意味する文言が書かれたTシャツを頭上に掲げた

ベリー選手はソーシャルメディアで、自らの行動に対して多くの批判が寄せられているのを認めた。その中には共和党のテッド・クルーズ上院議員とダン・クレンショー下院議員からのものも含まれる。後者はベリー選手を五輪の代表メンバーから外すよう求めている。

ベリー選手は28日、CNN提携局のブラック・ニュース・チャンネルの取材に答え、五輪に出たくないと言ったのでは決してないとしたうえで、「国が嫌いだと言ったわけでは絶対にない。断じてそんなことは言っていない。自分の仲間たちを尊重していると言っただけだ。尊重しているからこそ、彼らを軽視するものには我慢ならないし、認められない。私は仲間たちを愛している。ただそれだけ。以上」と語った。

また選手が壇上にいる間に国歌が流れることについては事前に知らされていなかったと強調。そのため仕組まれたものに思えたと説明した。

アスリートの中からはベリー選手の行動を支持する声も上がっている。陸上三段跳びで米国代表入りを果たしたウィル・クレイ選手はツイッターでベリー選手への支持を表明。「いつかこの国の人々が理解してくれるのを願う。あなたの行動はすべて仲間への愛ゆえのものであり、この国を憎んでいるからではないということを」とつづった。

短距離走者として五輪で4個の金メダルを獲得したマイケル・ジョンソン氏は、批判覚悟で信念を貫いたベリー選手の勇気を称賛。また米国が体現する自由の中には国歌の演奏中、立つこともひざまずくことも、あるいは平和的に信条を明示することも含まれていると指摘した。

表彰式で国旗に向き合わなかった米女子ハンマー投げ選手、批判に答える

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