米誌「ナショナルジオグラフィック」、5つ目の海洋「南極海」を認定

米誌「ナショナルジオグラフィック」が「南極海」を5つ目の海洋に認定した/Wolfgang Kaehler/LightRocket/Getty Images

2021.06.24 Thu posted at 15:30 JST

(CNN) 米誌「ナショナルジオグラフィック」はこのほど、従来の4つの海洋に加えて5つ目の海洋が存在すると公式に確認した。該当するのは南極大陸の周囲の海域で、「南極海」と名付けている。

同誌の地理学者、アレックス・テート氏は世界の海洋について、実際にはすべて1つにつながっているとしたうえで、ここで取り上げているのは海洋の「領域」だと説明。従来は大西洋、太平洋、インド洋、北極海の4領域に分けられていたが、長年にわたり科学者らは「南極海」の呼称を用い、南極周辺の海域に言及してきたという。

それでは、南極海と他の海洋とはどう違うのか?

「大西洋、太平洋、インド洋は海水温が高めなのに対し、南極周辺の海は非常に冷たく、塩分濃度が低い。動物相も異なりミンククジラや特定の種のアザラシ、ペンギンが暮らしているほか、魚類や鳥類も豊富に生息する。南極海での環境的な要因に基づく特徴だ」(テート氏)

5つ目の海洋の命名には、自然保護の取り組みに寄与するとの動機もある。海洋保全という巨大プロジェクトでは、当該の海域を単なる「海の一領域」とするよりも南極海という海洋に格上げして取り上げる方が人々の関心を高めやすい。

ナショナルジオグラフィックは南緯60度までを南極海の範囲としている

世界中の国や団体によってまちまちだった南極海の範囲について、ナショナル・ジオグラフィックは公式に南緯60度を海洋の境目と設定する。これに対しオーストラリアは、自国より南の海をすべて南極海だと認識している。

加えて気候変動も、南極海の境界を決めるうえで一定の役割を果たす。

現在米プリンストン大学の主導するプロジェクトが、センサーを搭載した機材200あまりを南極海に浮かべ、塩分濃度や酸素レベル、植物プランクトンに含まれる葉緑素といった環境データを収集している。

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