ニューヨーク(CNN Business) スイス・ジュネーブで米ロ首脳会談が行われた16日、会談後に単独で記者会見に臨んだロシアのプーチン大統領に対し、記者の一人がロシア国内での政治弾圧について厳しい口調で質問を浴びせる一幕があった。
当該の質問に立ったのは米ABCニュースのレイチェル・スコット記者。プーチン氏の政敵の多くが軒並み死亡あるいは収監されている事実に触れたほか、収監中の反体制派指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏の支持者は誰であれ現在選挙に立候補することが不可能になっていると指摘した。
そのうえでプーチン氏に「何をそれほど恐れているのか?」と尋ねた。
これに対しプーチン氏は、ナバリヌイ氏を名指しせず同氏の設立した組織に言及。本質として「過激主義的」な団体であり、「大規模な騒乱」や違法行為を呼び掛けていたと主張した。
同氏は続けて、黒人差別に抗議する「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動を受けて米国内には「騒乱」と「破壊」が存在するとの認識を表明。ロシアは米国に同情しており、そうした示威行動が自国で起きるのを望んでいないと説明した。
スコット記者は引き下がらず、「質問に答えていない」と指摘したうえで「政敵全員が死亡したり収監されたり、毒を盛られたりするのであれば、それは公正な政治闘争を望まないとのメッセージを送ることになるのではないか?」と、問いかけた。
するとプーチン氏は今年1月の米連邦議会議事堂襲撃事件を持ち出し、当該の襲撃に加わった暴徒が逮捕され、禁錮刑を言い渡されるのと同じ理由で自身の政敵も収監されているとの見方を示した。
ロシアの裁判所は先週、ナバリヌイ氏と関係のある2つの組織を「過激主義」の団体と認定。米国がこれを非難する事態となっていた。
首脳会談に先駆けバイデン米大統領は、もしナバリヌイ氏が死亡すればロシアの人権意識の低さが改めて露呈するとの見解を表明。会談後の単独会見でも、ナバリヌイ氏の死亡は「ロシアにとって壊滅的な」結果をもたらすだろうと、繰り返し強調した。
米記者がプーチン氏に対峙、政治弾圧めぐり応酬