ロンドン(CNN) ジョンソン英首相は14日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑える規制措置の全面解除を、予定していた今月21日から来月19日へ、4週間延期すると発表した。
英国では新型ウイルスワクチンの接種が順調に進み、すでに成人の半数以上が2回の接種を完了した。しかしジョンソン氏はインド型変異株(デルタ株)が広がっていることを理由に、解除の延期を決めた。
ジョンソン氏は首相官邸での記者会見で、「今はアクセルを緩める時。ここで慎重になれば、今後4週間のうちにワクチンを数百万人に接種し、何千人もの命を救える可能性がある」と強調した。
英国ではデルタ株の感染が前週比7%増の勢いで拡大している。予定通りに規制を解除すれば、入院患者が昨年の「第1波」のレベルまで増える可能性も指摘されていた。
イングランド公衆衛生庁(PHE)が14日に発表したところによると、英国内で使われている主なワクチンを2回接種した場合のデルタ株に対する有効性は、英アストラゼネカ製が92%、米ファイザー製が96%。
ワクチンを1回だけ接種した場合、デルタ株への有効性は英国型変異株(アルファ株)に比べて17%下がるが、2回接種後はほとんど差がないと報告された。
政府は今後、41歳以上の人がワクチンを受ける間隔を、現在の12週間から8週間まで短縮する方針。来月19日までには、先月中旬の時点で1回目を打っていた41歳以上の人は全員が2回目を済ませ、19歳以上は全員が1回目を接種できる見通しだ。
結婚式をめぐる規制だけは14日から緩和され、出席者30人までという人数制限が外された。
ジョンソン氏は今回の延期が最後になると述べ、解除が4週間以上先になることはないと強調した。感染状況によっては来月5日に解除することもあり得るが、その可能性は低いとみられる。
英国では昨年3月23日にジョンソン氏が外出禁止を発表してから、常に何らかの規制が敷かれてきた。
与党・保守党の議員らは公の発言を控えているが、規制解除の延長は必ずしも支持されていない。ワクチンの効果で死者や入院患者の数が減っているなか、規制が経済や生活に与える影響は大きすぎるとする意見や、ジョンソン氏が議会への相談なしに延期を発表したことに対する不満の声も聞こえる。