インド、全国のトラ保護区を当面閉鎖 コロナ感染の懸念で

ゲートを閉める印ハイデラバードの動物園の職員/Noah Seelam/AFP/Getty Images

2021.06.09 Wed posted at 19:35 JST

ニューデリー(CNN) インド政府は7日、全国のトラ保護区を閉鎖するよう命じた。国内の動物園で先週、新型コロナウイルスに感染したライオンが死ぬなど、動物への感染拡大が懸念される事態となっているためだ。

環境省傘下の保護当局によると、全てのトラ保護区で当面、観光客の受け入れを停止する。

トラは世界の生息数が4000頭を下回り、絶滅の危機に直面している。そのうちの多くが生息するインドでは近年、森林面積の拡大やトラを殺した場合の罰則強化などにより、個体数が増加傾向にある。

一方、東部タミルナドゥ州の都市チェンナイの動物園では最近、絶滅の危機にあるインドライオン数頭が新型ウイルス感染の症状を示し、このうち9歳の雌が3日に死んだ。新型ウイルスが直接の死因だったかどうかはまだ確認されていない。

動物園ではただちにすべてのライオンを隔離し、抗生物質での治療を開始した。ウイルスの株を判定するため、園内のライオンやトラなど大型ほ乳類からサンプルを採取して検査に回した。

感染例が出たチェンナイの動物園ではすべてのライオンを隔離し、治療を開始した

同州のスターリン首相らは6日にこの動物園を視察。園のスタッフ全員がワクチンを接種し、感染したライオンの治療に最善を尽くすよう指示した。

インドでは3月にも南部ハイデラバードの動物園でライオン8頭が感染した。

米ニューヨークのブロンクス動物園では昨年4月、複数のトラやライオンが感染したが、その後回復している。

専門家によれば、ライオンやトラなどネコ科の動物は新型ウイルスに感染すると重症化しやすいと考えられ、人間からの感染に特に注意が必要とされる。

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