(CNN) 4年に1度行われる各国対抗のサッカー欧州選手権2020年大会(ユーロ2020)に出場するウクライナ代表は13日、グループステージ初戦のオランダ代表との試合に臨む。今大会でウクライナ代表の選手が身に着けるユニホームには同国の地図がデザインされているが、そこには14年にロシアによって併合されたクリミア半島も含まれている。
ウクライナ・サッカー協会のアンドリー・パベルコ会長は6日、当該のユニホームの画像をフェイスブックに投稿。胸の部分に描かれたウクライナ地図の線画に言及し、「これこそ最も価値ある我が国の外形だ。全国民にとってそうだ」とコメントした。
さらに「単一かつ不可分の母国」としてクリミア半島、ドネツク、ルハンスク、キエフ、ドニプロ、リビウ、オデッサなどの地名を挙げ、「子どものころから国歌の旋律に慣れ親しんできた土地」との認識を示した。
フェイスブックに添付されたプロモーション動画では、ユニホーム上の地図の輪郭を青白い光の筋でなぞる演出も施されている。
ロシア側にはクリミア半島を手放す考えはなく、あくまでも自国の一部とみなしている。今年4月にはロシアがウクライナ東部の国境地帯に軍を集結させ、両国の緊張が高まる事態にもなっていた。
同地域では14年以降、ウクライナ政府軍とロシアの支援を受けた分離独立派との戦闘が続いている。
ロシア外務省の報道官は6日、国営タス通信の取材に対し、上記のウクライナの地図にクリミア半島が含まれていることについて、「あり得ない幻想」を作り出す試みだとの見方を示した。
ユニホームの背やえりの内側には「ウクライナに栄光を」、「英雄たちに栄光を」といった意味のスローガンが記されているが、同報道官はこれに対してもウクライナの民族主義者たちに関係のある文言だと指摘。第2次大戦中、これらの人々はナチスの側について戦ったと批判した。
ユーロ2020を運営する欧州サッカー連盟(UEFA)はCNNへの声明で、規定に従いウクライナ代表のユニホームを承認していると明言した。
ユーロ2020は11日に開幕する予定。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、昨年からの開催延期を余儀なくされていた。