ロンドン(CNN) 英イングランド中部で、足かせがはめられた人骨が考古学者らによって発見された。ローマ帝国の支配下にあった当時の英国で、奴隷制が実際に行われていた物的証拠とみられている。
ロンドン考古学博物館は7日、溝に埋められていた成人男性の足首に鉄製の足かせが施錠されていたと説明。同博物館の考古学者らによると、人骨はイングランド中部ラトランド州グレートカスタートンで、住宅の拡張工事の際に建築業者によって発見されたという。
放射性炭素年代測定の結果、人骨は西暦226年から427年のものと判明。現在の英国の大部分は紀元前43年から紀元410年前後にかけて、ローマ人の支配下にあった。
同博物館の骨学の専門家であるクリス・チンノック氏は、「ローマ帝国は奴隷労働に非常に依存していたことは分かっている。ローマ帝国は歴史を通じてかなりの程度、奴隷労働に下支えされていた。それはローマ支配下の英国でも同じく当てはまる。板に記されたものや石に彫られたものによる文字資料がたくさんある」と説明。
「これまでわれわれが発見できていなかったものは、奴隷だったと思われる、そう強く疑われる人物の物的な骨だ」と述べた。
チンノック氏は、この男性が奴隷状態にあったと断言することはできないとしたものの、英国において発見されたものの中では、その可能性が最も高いと指摘している。
また同博物館によると、ローマ帝国各地に存在した奴隷制の関連遺物である足かせに加えて、この男性は右半身がわずかに埋まり、傾斜した地面から左半身とその腕がわずかにはみ出していた。このことは、墓地に埋葬されたというよりは、溝に捨てられたことを示唆しているという。