再び噴火の可能性、数万人が避難 隣国との国境で大渋滞 コンゴ

ニラゴンゴ山の噴火から避難した住民ら。援助を受けるための登録に並んでいる=26日/GUERCHOM NDEBO/AFP/Getty Images

2021.05.28 Fri posted at 12:09 JST

コンゴ民主共和国(CNN) アフリカ中部コンゴ民主共和国(旧ザイール)のニラゴンゴ山が再び噴火する可能性があるとして、当局が住民に避難命令を出した。これを受けて数万人が火山に近い都市ゴマから脱出しようとして、隣国ルワンダとの国境に押し寄せている。

ニラゴンゴ山は先の週末にかけて起きた1回目の噴火で少なくとも31人が死亡、3万人が避難を強いられた。

以来、現地では地震や揺れが続いており、火山から100キロ以上離れた隣国ルワンダの首都キガリでも揺れを感じた。


地震によって道路に亀裂が入った=26日、コンゴのゴマ近郊/Djaffar Al Katanty/Reuters

建物の壁や地面には亀裂が生じ、一部では道路を横断する亀裂ができている。住民はCNNの取材に対し、近隣の高層住宅からは倒壊を恐れて避難した人もいると話した。

北キブ州知事は27日の記者会見で「地震活動のデータからは、ゴマの都市部とキブ湖の下にマグマの存在がうかがえる」「地表や湖の下で再度の噴火が起きる可能性は排除できない。何の予告もなく起きる可能性もある」と述べ、指示に従って溶岩には近づかないよう住民に警告。「窒息死したり、重いやけどを負ったりする可能性もある」と言い添えた。

北キブ州の州都ゴマはルワンダとの国境上にあるキブ湖に面している。人口は国連や世界銀行の統計では約67万人とされるが、現地の非政府組織(NGO)によれば100万人近いという。

ゴマで最も危険が大きい10地区からは27日に住民が避難している。当局の発表によると、同地では今後も地震が予想されるほか、2度目の噴火が起きる可能性もある。

避難する人々が押し寄せ、大停滞となった=27日

大気中に放出された火山灰が健康被害を生じさせる恐れもあり、果物や野菜を購入する際は有害な火山灰が付着している可能性があることから警戒するよう呼びかけた。

さらに、湖の底で噴火が起きる可能性もあるとして、「全ての危険が完全に排除されるまで、避難した住民の帰宅は想定できない」としている。

地元自治体は国家警察や軍と協力しながら避難する住民を誘導しているが、コンゴとルワンダの国境地帯には避難する人たちが押し寄せて大渋滞が起きている。

現在何が起きているのかは専門家にもはっきり分からないと当局者は説明する。現時点で観測されている活動は、前回の噴火の際に記録された活動とは異なるという。ただ、直近の観測では地震の頻度や強さは減少がうかがえるとした。

人道支援団体のノルウェー難民評議会(NRC)によると、最初の噴火では住宅少なくとも900棟と学校5校が破壊された。電力や水の供給設備にも被害が出ており、26日の時点で電力は一部が復旧したが、まだ水の供給はストップしている。

NRCによれば、コンゴ民主共和国は相次ぐ紛争のために2020年の1年間で200万人が自宅からの避難を強いられ、「世界で最も見放された避難民危機」に瀕(ひん)している。

コンゴの噴火、数万人が避難 国境で大渋滞

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