(CNN) 中国・甘粛省の山岳地帯で行われたウルトラマラソンの大会が悪天候に見舞われた件で、羊飼いの男性が参加者6人の命を救っていたことがわかった。国営メディアが伝えた。
100キロの距離を走るウルトラマラソンの大会は22日に行われたが悪天候に見舞われて参加者21人が死亡していた。
国営ラジオ局の中央人民広播電台(CNR)によれば、ジュウ・ケミンさんは天候が悪化してきた際、羊を放牧していた。ジュウさんはランニングコースの近くの洞窟にまきや衣類を保管しており、そこに避難した。
ジュウさんはCNRの取材に対し、「あの日の天候はとてもまれなものだった。霧がかかり、雨が降って、風もあり、ときどき、ひょうも降った。あんな天気は本当にまれだ」と振り返った。
気温の低下とともに低体温症を訴えるランナーが出始め、行方不明となる参加者もいた。レースは中止となり、1200人を動員しての捜索活動も行われた。
ジュウさんによれば、午後1時ごろ、洞窟の外で音がし、霧の中からランナーが出てくるのが見えた。
ランナーの男性の走る速度はととても遅く、「まだ走れますか」などと尋ねたという。ランナーの男性は脚をさすり、けいれんでもうこれ以上は走れないと答えたので、洞窟の中で温まるよう伝えたという。
さらに4人のランナーが洞窟に避難してきたほか、コースにランナーが倒れていたので、背負って洞窟に連れてきたという。
ジュウさんの村の人たちもランナーの支援に参加した。衣類や布団を持ってきたほか、捜索活動にも加わった。お湯や食料を運んでくる村人もいたという。
ジュウさんがランナーを避難させた洞窟/STR/CNS/Getty Images
今回の救援活動がSNSで拡散した後、ジュウさんは自らの投稿で、自分の行動は「とても普通で、ありふれたことだった」とし、もっと多くの命を救えたかもしれず残念だと述べた。
ウルトラマラソンの大会で死者が出たことで人々から非難の声があがっており、組織委員会の準備に対しても厳しい目が注がれている。23日午前までに大会参加者172人のうち151人の無事が確認された。8人は入院した。人民日報によれば、21人が死亡した。
ウルトラマラソンで21人死亡、山岳地帯の悪天候 中国