ベラルーシ戦闘機が発進 旅客機が緊急着陸、搭乗の活動家逮捕

ミンスク国際空港に緊急着陸したライアンエア機/AFP/Getty Images

2021.05.24 Mon posted at 10:41 JST

(CNN) ギリシャからリトアニアに向かっていた欧州の格安航空大手ライアンエアの旅客機が、ベラルーシ大統領の命令で発進した戦闘機に先導されて同国の首都ミンスクの空港に緊急着陸し、搭乗していた反体制派の活動家が同空港で逮捕された。ベラルーシの国営放送が伝えた。

ベラルーシ内務省は23日、亡命していたロマン・プロタセビッチ氏をミンスク空港で拘束したと発表した。プロタセビッチ氏はベラルーシのルカシェンコ政権を批判していた。

ライアンエア機はギリシャの首都アテネからベラルーシの上空を経由して、リトアニアの首都ビリニュスに向かう途中だった。

ライアンエアによると、ベラルーシの管制塔から「機内に安全上の脅威」の可能性があると告げられて、最も近いミンスクの空港に緊急着陸するよう指示された。着陸後に乗客を降ろして地元当局が保安検査を実施。不審物は見つからず、当局が出発を許可して同機は乗員乗客を乗せ、約5時間後にミンスクを出発した。


ミンスクで拘束されたロマン・プロタセビッチ氏。写真は2020年8月撮影/Michal Fludra/NurPhoto/Getty Images

ベラルーシで逮捕されたプロタセビッチ氏は、反政府デモの組織に使われていたメッセージアプリ「テレグラム」のチャンネル「ネクスタ」や、政府批判を展開していた別のチャンネルの創設者。両チャンネルともベラルーシでは過激派組織に指定され、プロタセビッチ氏はテロに関与したとして政府に指名手配されていた。

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は1994年以来、政権の座にあって、昨年9月に突如として6期目に就任した。その前に行われた選挙に対しては異議が申し立てられており、欧州連合(EU)は選挙の正当性を認めていなかった。同国では昨年夏に大規模な抗議デモが広がった後、ルカシェンコ大統領や国家治安当局が反体制派や野党勢力の指導者を強制的に国外退去させたり拘束したりしていた。

ライアンエアの旅客機が緊急着陸した経緯については情報が錯綜(さくそう)している。

ミンスク国際空港に緊急着陸したライアンエア機

ミンスク空港はロシア国営RIAノーボスチ通信に対し、同機は未確認の爆弾情報があったために緊急着陸したと説明した。

これに対してリトアニア空港の広報はLRT国営ラジオの取材に対し、乗客と乗員の衝突が原因だったと述べ、リトアニア民間航空当局に爆弾の情報は入っていなかったと話している。

リトアニアの大統領はツイッターへの投稿で今回の事態を「前代未聞の出来事」と形容、「ビリニュスに向かっていた民間の旅客機がミンスクに強制着陸させられた」「この忌まわしい行為には政権が関与している」と述べて、プロタセビッチ氏の即時釈放を求めた。

ベラルーシ野党指導者のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏は、ベラルーシ政権が「ジャーナリストで活動家のロマン・プロタセビッチ氏を逮捕するために同機をミンスクに強制着陸させた。同氏はベラルーシで死刑に直面している。ロマンの即時釈放を要求する」とツイートした。

米国のジュリー・フィッシャー駐ベラルーシ大使は23日、ツイッターへの投稿でベラルーシ政府を非難。欧州首脳もベラルーシによるプロタセビッチ氏の逮捕を非難している。

ベラルーシで旅客機が緊急着陸、活動家逮捕

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