イスラエルのアイアンドーム、迎撃するロケット弾を「判断」 全ては追跡せず

イスラエルの防空システム「アイアンドーム」を構成する砲台/Jalaa Marey/AFP/Getty Images

2021.05.19 Wed posted at 17:00 JST

(CNN) イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実行支配するハマスとの衝突では、9日間で数千発のロケット弾がガザからイスラエルに向けて発射された。これらのロケット弾は毎日、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」のミサイルによって迎撃されている。

イスラエル国防軍(IDF)は18日のツイートで、「アイアンドーム防空システムの目的はただ一つ。イスラエルの民間人が殺害される前に空中でロケットを迎撃することだ。人命を守る取り組みに関して我々が謝罪することはない」と述べた。

イスラエル軍によると、目標となるロケット弾の迎撃率は90%以上に達する。ただ、アイアンドームは全てのロケット弾を追跡するわけではない。IDFの公式データによると、ハマスやガザ地区の過激派組織「イスラム聖戦」が発射したロケット弾や迫撃砲弾のうち、アイアンドームが破壊したのは半分以下にとどまる。

イスラエル空軍は16日時点で、1週間あまり前に紛争が発生して以降、約3100発のロケットがガザから発射されたと説明。約450発は飛距離が足りず、イスラエル領内に届かなかった。残る2650発のうち、約1210発を迎撃したとしている。

ガザから発射されるロケット弾の量の多さを踏まえ、アイアンドームはどのロケット弾が都市部やインフラに最大の脅威を及ぼすかを「判断」する。軌道から判断して無人地帯や海に着弾する可能性が高いロケット弾は無視する。

アシュケロンでアイアンドームがガザから発射されたロケット弾を迎撃する様子

ただし当然ながら、一部のロケット弾は防空網をかいくぐる。ウェネスランド国連特別調整官(中東和平担当)は16日に行われた国連安保理の会合で、エルサレム近郊やテルアビブおよび同市郊外、ベングリオン空港まで到達したロケット弾もあると指摘した。

イスラエルではこれまで、ハマス戦闘員の攻撃に関連して少なくとも12人が死亡している。

アイアンドームはイスラエルの軍事企業ラファエル社と米防衛大手レイセオンが共同開発したもので、10年前に運用が始まった。ロケット弾探知のためのレーダーや、レーダーから提供されたデータを分析する指揮統制システム、その後に迎撃指示を受ける防空ミサイルで構成される。

防空システムは弾道ミサイルに対抗する目的で設計されているものが多いが、アイアンドームは低空飛行する無誘導ロケット弾を目標とする。最大射程は70キロ。

各砲台には目標識別のための火器管制レーダーや、移動式のミサイル発射装置が装備されている。簡単に運ぶことができ、移動と設置にかかる時間はわずか数時間だ。

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