インド、猛烈なサイクロン上陸で甚大被害 西岸で死者26人

ボートを引き上げる漁師ら=17日、インド・ムンバイ/ Anshuman Poyrekar/Hindustan Times/Getty Images

2021.05.19 Wed posted at 11:35 JST

ニューデリー(CNN) インド西岸に17日夜、猛烈な勢いのサイクロンが上陸した。各地で豪雨や暴風による被害が相次ぎ、少なくとも26人が死亡した。

サイクロン「タウテ」は勢力を強めながら西部グジャラート州に上陸した。米軍合同台風警報センター(JTWC)によると、上陸時の風速は約56メートルと、インド西岸で過去最強の勢力を記録した。

インド気象当局によると、タウテの勢力は18日朝までにやや弱まったものの、現地からの写真や映像は豪雨で幹線道路が川のようになり、暴風で樹木や送電施設が倒れた光景を伝えている。

グジャラートなど西岸の5州で、海での水死や家屋の倒壊、落雷などによる死者が少なくとも計26人報告された。

グジャラート州のルパニ首相が17日に発表したところによると、州内の沿岸部から20万人以上が避難した。2435カ所以上の村落で停電が起き、その後484カ所で復旧した。

気象当局は同州沿岸部で最大4メートルの高潮が発生し、州の最大都市アーメダバードでは24~48時間のうちに1~6月の平均雨量に相当する102ミリ近い雨が降る恐れがあるとの警告を発した。

最大都市の西部ムンバイ沖では18日、沈没した石油採掘施設から海軍が177人を救助した。

新型コロナのワクチン接種センターの一部が強風で吹き飛ばされた=17日、インド・ムンバイ

同国では新型コロナウイルスが猛威を振るっている。1日当たりの感染者数はこの1週間で減少に転じたものの、死者数は記録を更新し続け、特に農村部で感染拡大が深刻化している。

同国では昨年もコロナ禍のなか、5月末から6月初めにかけて襲ったサイクロンで多数の住民が避難したが、当時の感染状況は比較的落ち着いていた。今年は世界最悪のペースで感染が拡大し、医療体制が崩壊する事態となっている。

タウテの接近にともない、低地からは新型ウイルス感染症の患者を含む数万人が避難を強いられた。ムンバイでは先週、仮設の診療施設から患者580人が複数の病院へ搬送された。

ルパニ氏は18日、グジャラート州に400カ所ある新型ウイルス感染症専門病院のうち100カ所で電力供給が停止したと述べた。どの病院も非常用電源を備えていたが、4カ所ではこれが作動せず、当局が復旧作業を急いでいるという。

インドのモンスーンシーズンは年々激しさを増している。2018年8月の洪水では西部ケララ州だけで数百人が死亡した。19年にはシーズン中、全国で1600人を超える死者が出た。

インド、サイクロン上陸で甚大被害 コロナ対応に影響も

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。